(書評)がんばりすぎなあなたにご褒美を! 堕落勇者は頑張らない

著者:兎月竜之介



「勇者なんてやめた! 俺は自由だっ!」 魔王を倒し、世界を救ったものの、その後も「模範的英雄」であることを強いられたウィルは、大勢の前でそう宣言し、出奔した。そのまま放浪を続け倒れたウィルは一人の少女・アイリスに拾われる。そして、ウィルは彼女に「働くの禁止」「がんばるの禁止」と言われてしまって……
バブみ。
作中でも何度か出てくる概念なのだけど、正直、私自身はあまりこの概念についてよくわかっていなかったりする。そして、そんなにそれが魅力的とも思えていなかったりする。年下の女の子に甘やかされる、とか、そういう感じだったっけ?
まぁ、この手の設定の話、っていう意味では、同じMF文庫Jで刊行されている『今日から俺はロリのヒモ!』(暁雪著)シリーズとかを思い浮かべるのだけど、味付けは大分異なる印象。
『ロリのヒモ』は、幼女のヒモとなった主人公が、自ら積極的に甘え、文字通りの「クズ」な言動を行うのを一種、ギャグちっくに描いた作品。対して、本作の場合、主人公は一応、頑張ろうとしているものの心の問題か身体がいうことを聞かない。そして、そんなウィルにアイリスは「頑張らなくていい」と言ってくれる。こちらは、ギャグ要素とかはほとんどなく、何か、疲れたとき、こういう風に言ってくれる存在がいればなぁ……と思わせるような、癒しを重視した作品になっている。
ある意味、世相を反映しているというか、そういう面はあるのかな、と思う。例えば、高校野球とかで甲子園に出てくる選手たち。あくまでも高校生の野球の全国大会なのだから、野球の技術さえあればよいはず。ところが、丸坊主じゃなきゃアカン! とか、物言いがどうのこうの、とか、色々と「優等生」であることを期待される。そして、活躍すればするほど、そういう制約が増えていく息苦しさ。その息苦しさとかを感じたとき、アイリスのような存在が現れたら……っていうのは思う。
もっとも話とすれば、特に大きな動きとかはない。途中、ウィルとともに魔王討伐をしたマーガレットが現れ、ウィルを連れ戻そうとする、っていうのはあるけど、でもあまり話は動かない。そして、最終的には……だし……。起伏という点では乏しいかな、と言わざるを得ない。
アイリスかわいい。アイリス女神。
そんなことを感じながら読む作品、ってことでいいのかな? と。

No.4486

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