(書評)ケーキ王子の名推理2

著者:七月隆文



ケーキが大好きな女子高生・未羽は、世界一のパティシエ・青山から店のケーキバイキングに招待された。夢のような時間。そんなとき、店に現れた外国人女性が乱入してきた。彼女・カロリーヌは、青山と浅からぬ因縁があるらしくて……。颯人のリベンジをかけたコンクールの中、青山の過去が明らかになっていき……
ということで、シリーズ第2作。一応、菓子にまつわる謎解きで物語が進展していく連作短編の形式ではある。しかし、全体を通すと、未羽、颯人が務めるパティシエールのオーナーシェフ・青山の物語といえる。
とりあえず、ミステリとしてなるほど、と思ったのは、2編目『カーディナルシュニッテン』。ウィーンからの来客をもてなすため、菓子を買いに来た客へとお勧めしたケーキ。しかし、それを出された客は、「我が国の伝統と文化を理解していない」と怒り出したという。その理由は?
謎の提示と、その真相自体はアッサリと出てくるので、謎解きの醍醐味はあまりないかも知れない。けれども、菓子そのものだけではなく、その扱いとか、そういうものも含めてそこには伝統、文化……そういうものが根付いている、というのを感じさせる。
そして、そんな話の中にも、青山は、「これで自分はプロポーズしようとしたことがある」なんていう言葉が出てくる。それは一体、何なのか? そして、最初こそ、怖い印象だったが、付き合ってみると非常にやさしい人であるとわかるカロリーヌが青山に対して思っているものとは……?
青山のプロポーズ云々という話。そして、そこにまつわる過去。
ある意味では、このきっかけとなった事件もまた、「悪しき意味で」の伝統とかが出ているんだよな……。勿論、そこには善意が当初はかかわっていたのだろうけど、でも、知らないうちにそんなことをされたら……。青山の決断もわかると思う。ある意味、自身が語るように「若気の至り」なのだろうけど……
そして、そんな中でのカロリーヌの気持ちも結構、切ない。姉への想い。そして、その姉の想い人であった青山への想い。一方で、一度は、その事件で道をあきらめたが、でも……という青山。
最終的にハッピーエンドで終わるところも読後感が良いし、非常に満足度の高い結末だった。

No.4487

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