(書評)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア8

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著者:大森藤ノ



「言っただろ、雑魚は足手纏いだってな」 闇ギルドの罠により多くの死者を出したロキ・ファミリアにあってそう言い放ったベートはその一言により、ファミリアから孤立する。ロキからも謹慎を言い渡されたそんなとき、彼の前に現れたのは、アマゾネスの少女・レナ。彼女の猛烈な求愛を受けるそんなとき……
第8巻はベートのエピソード。
まず、言うと……ヤンデレ、怖い!(笑) あらすじでレナに求愛された、という話を書いたけど、レナさん怖い(笑) ベートを愛し、そこに執拗に付きまとう……くらいはまぁ、わからないでもない。でも、思い切り腹パンされて「妊娠しちゃう!」とか言って喜ばれても……。フィンに対して熱烈なラブコールを送っているティオネがドン引きするってすごいぞ(笑)
ベートに関していうと、アニメとかでも印象的なシーンとして、アイズに助けられ命からがらダンジョンに戻ってきたベルを罵倒するシーンが有名だけど、そこでも出てきた弱者に対する罵倒。その真意っていうのが、今回のエピソードかな?
ただただ強さだけを追い求め、弱者を罵倒し続けるベート。その過去にあるのは、自分の力の弱さ。そして、死んでしまった同胞たち。それが、彼の強さを求める原点であり、同時に弱さをそのままにいる者たちへの怒り、苛立ちへとつながる。そして、それと同時にあるのは、罵倒することでしか、弱いものを奮い立たせることができない彼の不器用さ。だからこそ、本当は誰よりも仲間の死に対して敏感でもある……
それが現れるのが、闇ギルドによるイシュタルファミリアの襲撃。望んでもいないのにひたすら付きまとい鬱陶しいと感じるレナの危機に怒り、そして、彼女を守ろうとする姿……
ベート視点で描かれる話なので、その心根は早い段階で読者にはわかるのだけど、今回のエピソードで印象的なのは、なぜ彼がアイズを評価するのか? それは、彼女もまた、純粋に強さを追い求める同志として認めているから。そして、当初、その弱さを嘲笑したベルがアイズを追い、猛烈な速さで強くなってきていることについても評価をしている。その辺りは、予感はあったものの「やっぱり」という感じ。
話としては、幕間劇という感じではあるのだけど、ベートについての掘り下げ、っていう意味では読んでいて意味のある話だったと思う。
ただ……正直なところ、ロキ・ファミリアの面々に、彼の心根がバレてしまい、かつ、読者にも……となると……
ベートがこれまでの「憎まれ役」から、ただのツンデレさんになってしまいそうでちょっと勿体ない、と感じるところではある。

No.4496

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