(書評)永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか?
- 24, 2017 11:13
- や行、ら行、わ行の著者
- 0
- 0
著者:若木未生


大学に入学した鏡秋太郎が足を踏み入れたのは、極端な人間嫌いである来見行が占拠する謎のサークル「仮面応用研究会」。行に興味を持った秋太郎は、入部を志願するものの、行はそれを断固拒否。それでも通い続ける秋太郎は、サークル棟で墜落死体を発見する……が一瞬にして消失してしまう。そんな超常現象を推理する行の裏では、行の兄が暗躍しているようで……
これ、どういう風に感想を書けばいいのだろう? なんか、タイトルや上に書いた粗筋だと、サークル棟で起きた事故(事件?)を調べる本格ミステリのように思えるかもしれないけど、それは明確に否定しておく。
墜落死した存在というのは、秋太郎が仮面応用研究会に通うようになった際、サークル棟を使ったかくれんぼをしませんか? と誘ってきたサークルの人間。ところが、そんなサークルはこの学校に存在していない。さらに、秋太郎の前に現れた行の兄も、そんなところに存在するはずがない存在だという。そして、死んだはずの青年を含む、存在しないはずのサークルが再びかくれんぼの誘いにやってきて……
そういう意味では、オカルトミステリとでもいうのかな? 秋太郎らの前で起こる超常現象。そして、その法則性を探り、なぜ、それが起こったのか? そして、どうしたら止まるのか? それを探る、という形になるのかな?
読み終わってみると、結構、その法則性とかはシンプル。ただ、そこに極度の人間嫌いの行。そして、秋太郎、恋人の羽衣のやりとりを加えることで独特の雰囲気を作り出しているのは確か。極度の人間嫌いだからこそ、哲学などを学び、人間とはについて考える行。しかし、周囲とは交わろうとはしない。そして、そんな行を「面倒くさい」と言いつつ、そこに通い、少しずつ彼の懐へと潜り込もうとする秋太郎。非常におせっかい、でも、見方によっては鬱陶しい秋太郎もまた、特殊な存在。そして、それぞれが人には言いづらいような過去を抱えていて……
シャーロック・ホームズについても私は全く詳しくないのだけど、タイトルにもあるワトスンは、その助手的存在として知られた人物。そして、ホームズが非常に癖のある人物(例えば、女性に対して気を許さない、とか)ということも聞いたことがある。それを行と、秋太郎にするなら、その面倒くさい人物像をうまくなだめすかして……ってことなのかな? とも思う。そして、そのうえで、行の兄も正体、過去などから見て、同じような存在になっているようにも感じられた。
結構、哲学、それもニーチェの言葉とか、そういうものが出てくるので何かはぐらかされているような気持ちがないわけではない。大学時代、政治哲学みたいな授業で、うつらうつらしながら聞いていた言葉に、そんなのあったなぁ、とか、そういうので全く理解不能ではないけど、でも、何となく、レベルで頭に残っている言葉が出てくるから……。一応、物語がどんな感じで終わったか、とか、そういうのは理解できたつもりだけど、ちょっとふわふわした気分になってしまったのもまた、事実であったりする。
……なんだ、自分の知識不足のせいじゃないか(あほ)
No.4504

にほんブログ村
大学に入学した鏡秋太郎が足を踏み入れたのは、極端な人間嫌いである来見行が占拠する謎のサークル「仮面応用研究会」。行に興味を持った秋太郎は、入部を志願するものの、行はそれを断固拒否。それでも通い続ける秋太郎は、サークル棟で墜落死体を発見する……が一瞬にして消失してしまう。そんな超常現象を推理する行の裏では、行の兄が暗躍しているようで……
これ、どういう風に感想を書けばいいのだろう? なんか、タイトルや上に書いた粗筋だと、サークル棟で起きた事故(事件?)を調べる本格ミステリのように思えるかもしれないけど、それは明確に否定しておく。
墜落死した存在というのは、秋太郎が仮面応用研究会に通うようになった際、サークル棟を使ったかくれんぼをしませんか? と誘ってきたサークルの人間。ところが、そんなサークルはこの学校に存在していない。さらに、秋太郎の前に現れた行の兄も、そんなところに存在するはずがない存在だという。そして、死んだはずの青年を含む、存在しないはずのサークルが再びかくれんぼの誘いにやってきて……
そういう意味では、オカルトミステリとでもいうのかな? 秋太郎らの前で起こる超常現象。そして、その法則性を探り、なぜ、それが起こったのか? そして、どうしたら止まるのか? それを探る、という形になるのかな?
読み終わってみると、結構、その法則性とかはシンプル。ただ、そこに極度の人間嫌いの行。そして、秋太郎、恋人の羽衣のやりとりを加えることで独特の雰囲気を作り出しているのは確か。極度の人間嫌いだからこそ、哲学などを学び、人間とはについて考える行。しかし、周囲とは交わろうとはしない。そして、そんな行を「面倒くさい」と言いつつ、そこに通い、少しずつ彼の懐へと潜り込もうとする秋太郎。非常におせっかい、でも、見方によっては鬱陶しい秋太郎もまた、特殊な存在。そして、それぞれが人には言いづらいような過去を抱えていて……
シャーロック・ホームズについても私は全く詳しくないのだけど、タイトルにもあるワトスンは、その助手的存在として知られた人物。そして、ホームズが非常に癖のある人物(例えば、女性に対して気を許さない、とか)ということも聞いたことがある。それを行と、秋太郎にするなら、その面倒くさい人物像をうまくなだめすかして……ってことなのかな? とも思う。そして、そのうえで、行の兄も正体、過去などから見て、同じような存在になっているようにも感じられた。
結構、哲学、それもニーチェの言葉とか、そういうものが出てくるので何かはぐらかされているような気持ちがないわけではない。大学時代、政治哲学みたいな授業で、うつらうつらしながら聞いていた言葉に、そんなのあったなぁ、とか、そういうので全く理解不能ではないけど、でも、何となく、レベルで頭に残っている言葉が出てくるから……。一応、物語がどんな感じで終わったか、とか、そういうのは理解できたつもりだけど、ちょっとふわふわした気分になってしまったのもまた、事実であったりする。
……なんだ、自分の知識不足のせいじゃないか(あほ)
No.4504

にほんブログ村
スポンサーサイト