(書評)悪女の品格

著者:辻堂ゆめ



三人の男を器用に転がし、貢物で豪勢な生活を送る光岡めぐみ。ところが、最近は、物置に監禁されたり、薬物混入をされたりと何者かに狙われ、そこにはかつての自分の行動を糾弾する手紙が。電車を乗り過ごした先で、帰宅の費用を貢がせるカモを探そうと参加したお見合いパーティーで出会った大学准教授と犯人を捜すのだが……
まず言うと、主人公のめぐみがクズ過ぎて全く共感できなかった。っていうか、こいつ、ひどい目にあえば良いのに、という気分。
一応、ネタバレになるかも知れないけど、主人公のめぐみは、有名女優の母と、大手企業の社長である父の間に生まれた。しかし、その両親は表向きはともかく、実際の結婚生活は破綻状態。そんな中で育った彼女は、学校でも、スクールカーストのトップに君臨し、「暇潰しのため」にクラスメイトらをいじめるなどやりたい放題。届いた手紙に書かれていたのは、そんな時代の、自分でも忘れていたある生徒へのいじめ行為そのもの……。そして、そのいじえていた相手こそ、その准教授・山本こと、真木で……
純粋にミステリとしてみるなら、この関係がなかなか面白いと思う。
手紙の内容などから、まず最初に疑わしく思えるのは真木。実際、偽名を使ってめぐみに近づいたし、忙しいはずなのに、なぜか周辺に現れて、色々と探っている。行動の中にも怪しいことがいろいろと……。真木は、自分ではない。そして、犯人は周辺にいる、と指摘するが、だったらまず怪しいのは真木自身。しかし、真木の推理にも一理ある部分がある。何より、どう突き放そうとしてもめぐみの周辺から離れようとはしない。
過去の、真木に対するいじめ。そのとき、被害者はいったい、誰だったのか? 勿論、真木は被害者。でも、それだけではない。学校という狭い社会の中にある歪んだ人間関係。スクールカースト。そういったものの嫌さとか、そういうのはしっかりと描かれていたと思う。
ただ……なんか、読み終わってすっきりしない。
っていうのは、めぐみがこうなってしまったのは……と言っても、やってることがやってることですぜ? 貧乏で、食べるために仕方なく盗みを働いた、とか、そういうのとは対極にあるわけで、同情できるか、これ? 一方で、真木も、それだけやられたのに、過去のことは水に流そう、ってできるか? なんか、あまりにも最後、綺麗にまとめようとして、あまりにも現実離れしてしまった感じがする。
あくまでも、好みの問題なのだけど、個人的には最後、真相を明らかにしたうえで、めぐみを踏みつけるくらいのオチが欲しいと思ってしまった。

No.4518

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