(書評)ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン

著者:小路幸也



昭和40年代。若き日の堀田我南人は、男たちに追われる一人の少女・秋実を助ける。彼女は、同じ施設で育ち、現在は歌手として活躍する親友・桐子の窮地を救うために、ひそかに東京へとやってきたのだという。そんな彼女に、我南人をはじめとして、東京バンドワゴンの面々は協力することにするが……
シリーズ番外編第2作。
勿論、番外編ということもあるのだろうけど、今回は、これまでの話とは大きく構成を変えてきたな、という印象。本編の場合、基本的には春夏秋冬、4つのエピソードを緩やかにつないでの連作短編集という構成なのに対し、本作は章立ては3章+プロローグ&エピローグ。物語としてもしっかりとつながった長編となっている。
物語としては、アイドル歌手である桐子は、同じく人気絶頂の歌手・三条みのると恋に落ち、駆け落ちをしようとしたところを捕まってしまった。桐子とみのるの事務所は犬猿の仲。しかも、桐子の事務所は、もともとはヤクザ稼業で、黒い噂もある。一方の、三条の事務所も決して潔白なところではなく、しかも、実は我南人の幼馴染で、LOVE TIMERの幻のメンバー。その双方を助けることに……
作品の紹介としては、我南人と秋実のなれそめ、という感じになっているのだけど、個人的にはそれよりも、この時代のちょっと胡散臭い芸能関係の雰囲気とか、そういうものを楽しめた。現在は、芸能関係に対しても暴力団の関与とか、そういうのは大きく排除されているけど、まだこの時代には。そんな中、東京バンドワゴンの面々だって、決して品行方正っていうわけじゃない。というか、解決策なんて、無茶苦茶強引なやり方。でも、そういうやり方で何か通じてしまう。これが許されるのは、時代設定であり、これまでに積み上げてきた本シリーズのキャラクター性がしっかりとしているからじゃないかと思う。既成事実にしてしまう、っていう解決法、すさまじいものなぁ(笑)
一方で、我南人と秋実の関係については……先に書いた、芸能人2人の話が印象に残ったせいか、あまり印象に残らなかった。確かに、東京バンドワゴンに居候させるために、我南人の婚約者ということにする、とか、そういう部分はあるんだけど、両者がひかれあう、とか、そういう部分があまり感じられずに、最後に……という感じだったので。
そういうのを加味すると、やっぱり、窮地に陥っている二人を助ける話、として楽しめた、という感想になると思う。

No.4519

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