(書評)タイムスリップ信長VS三国志

著者:鯨統一郎



三国時代の劉備玄徳が、未来からやってきたテロリストと入れ替わった。このままでは歴史が改変され、世界がほろんでしまう。しかも、三国鼎立を担うはずの呉の孫権は赤壁の戦いを前に、不慮の事故で死んでしまった。世界を守るべくタイムスリップした麓うららは、孫権の代わりに、本能寺の変で敗れた織田信長を呼ぶことにして……
久々に刊行されたタイムスリップシリーズ第10作。
第1作の『森鴎外』辺りは、タイムスリップした存在が色々とぼけて、みたいな話だったけど、シリーズを重ねるごとに「歴史を守る」という方向へとシフトしてきた本作。今回も三国鼎立を守る、というのが目的。ぶっちゃけ、本当に歴史が守れているのか? というツッコミをしたくなる部分はあるけど。
物語の中で描かれるのは、劉備らが参加していない赤壁の戦い。五斗米道との戦い。そして、劉備(作中では竜毘)との戦い、という形になる。この時点で大分違うでしょ?
まぁ、三国志、日本の戦国時代、というとどちらもゲームとかマンガとか、はたまたドラマとかではお馴染みの題材。自分の場合、ゲーム『三国志』シリーズとか、『信長の野望』シリーズとかをよくやっていてその中で、本作にあったように信長軍が三国志の世界に参加したらどんな戦いになるだろう? なんて夢想したことは多々ある。この作品というのは、それを実際にやってみた、という感じだろう。
例えば赤壁の戦い。三国志演技などでは、スパイを放って、水軍の戦いに不慣れな曹操軍の船を結びつけて火を放って勝った、というように描かれている。それに対し、本作の信長がとった作戦は同じ火でも、動物に松明をつけて突撃させる、という倶利伽羅峠の戦いのやり方で勝利を収める。また、五斗米道との戦いでは、石山本願寺との戦いで疲弊した経験、そして、キリスト教を保護した要領で、五斗米道を保護する形で勢力に取り入れる。そして、劉備との対決では、一夜城を築き、さらに鉄砲ならぬ弩を三段組で使用した、と言われる長篠の戦いのような形で勝利を収める。それぞれ、実際には「?」が入る部分ではあるのだけど、日本の歴史上で行った(とされる)戦い方をやって、というのは信長らしさを活かした、ということになるのだろう。まぁ、せっかく俗説の部分とかを持ってきているのだから、信長の性格とかももっと苛烈でも面白かったとは思うのだけど、一応、部下に裏切られたことから、というなら説明はついている……のかな?
いつも通り、内容自体はあっさりとした内容。その中で、信長が三国志の時代にいったらこんな戦い方をしたのでは? というライトな架空戦記もの、として楽しめばいい作品だと思う。

No.4521

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