(書評)ホテル・カリフォルニアの殺人

著者:村上暢



現地で知り合った友人・ジミーと共にアメリカを放浪するアマチュアミュージシャンの富井(トミー)は、外地から隔離された砂漠のホテル・カリフォルニアへとたどり着く。人気投票により、序列付けがされる歌姫という制度があるそこで、ナンバー1の歌姫が奇妙な形で殺害されるという事件が発生。事件の調査に乗り出す富井だったが、さらなる事件が発生して……
このミス大賞、超隠し玉として刊行された作品の1つ
解説でも触れられているけど、「このミス」大賞関連ではむしろ珍しい、ド直球な館モノ、本格モノ。
最大の謎は、最初の密室殺人。ナンバー1の歌姫が、喉元にナイフを突き立てられて死亡。部屋には鍵がかけられて、窓などもとじられている。唯一の脱出口といえるのは通気口であるが……。ナイフ投げが得意な不審な客がいるにはいるが……
まぁ、この密室の謎解きは、かなり強引というか、いくらなんでも……という感じがしないではない。流石に上手くいきすぎだと思うし、そもそも、いくら被害者が凄かったとしても、それは可能なのか? という風に思えてならないから。もっとも、そういう荒唐無稽さって、館モノとかの作品ではしばしばあるので、それを踏まえればアリかな? とも思うが。
ただ、主人公のトミーが、途中までは巻き込まれたので調査をしているだけ、だったのが、終盤になって実は「天才的なひらめきがある」なんていうのは唐突な感じがする。また、トミーと旅をしていたジミーは存在感が全くなくて、正直、何のためにいたのかよくわからなかった。その辺りはちょっと厳しめな評価にならざるを得ないかな? と思う。
ただ、そんな感じで、事件の謎が解かれた後、ホテルそのものに仕掛けられた悪意っていうのは好き。非常に狭い世界で、常に競わせる形で成り立つ歌姫というシステム。その中では当然に、様々な軋轢が発生して……。溜まった鬱憤が爆発するよう仕向けられた舞台。そして、その爆発すらもが娯楽として提供されていた……。後味がいいわけではないのだけど、館の由来とか、そういうのがしっかりと回収されているのは見事。

No.4525

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  • 2017.11.04 (Sat) 15:55 | 刹那的虹色世界