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(書評)機龍警察 狼眼殺手

著者:月村了衛



経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト・クイアコン。そのプロジェクトにかかわる一大疑獄。1課、2課が合同で捜査を進める中、その関係者が次々と殺害されていき……
機龍警察シリーズ第6作……で良いんだよなぁ(長編としては5作目だけど)
まず、読んでいて思ったのは、これまでの長編とは大分、構成を変えてきたな、ということ。これまでの作品では、最初に「こういう目的がある」「こういう敵がいる」ということが明らかになっている状態で特捜の面々の掘り下げがされていたような感じがあった。今回は、クイアコンに関わる関係者が大量に殺害された、という事件の発生から、どこへ進むのかわからない中で物語が進展していく。
日中合同のプロジェクトであるクイアコン。そのこと自体は知っている。では、具体的にどういう計画なのか。そこはよくわからない。そのような中で、不正のにおいが。政界のフィクサー。公官庁のキャリア。それらの取り調べを行うが、しかし、彼らは何者かに……。そして、その殺された者にはローマ教皇のイラストカードが送られていて……
正直なところ、序盤は登場人物の多さ。そして、そもそもクイアコンが何か、なのかすらよくわからない状態なのでなかなか物語に入り込むのに時間がかかった部分がある。その中で、1課、2課、特捜を巡るいざこざがあり、さらに、「敵」を巡っての疑念などもあるから。しかし、その被害者にカードが送られていること、犯人は凄腕の殺し屋・狼眼殺手だ、というのが判明するあたりから、物語が一気に面白くなる。
狼眼殺手と呼ばれる凄腕の殺し屋。相変わらず、それぞれのキャラクターがその立ち位置で錯綜するのだけど、その中に明確な犯人が判明することで一気に物語が引き締まる。そして、だんだんと明らかになっていく殺し屋の正体。それはライザとの因縁の相手。さらに、明らかになっていくクイアコンの正体。そこもまた、龍機兵の秘密。それらが次々と明らかになって加速していく様は圧巻。
物語は、殺し屋との対決に決着がついて……で終わる。ただ、その中で、これまで見えてきた「敵」の手が思った以上に根深いことが明らかになるし、また、フォンコーポレーションとの関係も変化。これまでちりばめられていた要素が一気に集まってきた感じがある。そういう意味で、これまではそれぞれの掘り下げ回。そして、一気にそれを収束させる物語の山場の入り口に入った。そんな感じがしてならない。

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  • 月村了衛さんの機龍警察シリーズ第5弾、「機龍警察 狼眼殺手」を読み終えました。 このところ「機龍警察」シリーズの続編が出なくて、どうなってるのかなと思ったら新刊が発売されていました。 2年前に短編を集めた番外編的な1冊が発売されましたが、本編の方は3年前の「未亡旅団」以来でした。そして内容は、今回も期待を裏切らない満足できるものでした!(^^) 今回は特捜部が、捜査一課や捜査二...
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