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(書評)探偵が早すぎる・下

著者:井上真偽



自分が狙われたことを自覚し、一族との対決を覚悟した一華。自らを囮として、父の四十九日法要へと臨む。彼女を殺そうと、寺での読経、墓での納骨、ホテルでの会食。次々と仕掛けられる罠に対し、事前に暴く探偵は……?
ということで、上下巻後半戦。
一応、上巻の最後で探偵・千曲川が一華の前に顔を表したわけだけど、序盤の寺、そして、墓でのトリックは前作と同じような形。読経中に寺そのものに仕掛けを施したり、はたまた、墓そのものを利用して……って辺りは、かなり独特で、上巻同様、これで一本の小説を書いても面白いと思う。
そして、最終段階のホテルでの数々の罠……
なんか、もう硬軟つけての様々なトリックが仕掛けられ、しかも、それぞれあっという間に阻止されていく様は最早、ギャグ。雑っちゃあ雑なんだけど、その辺りは織り込み済みでやっているのだろう。そして、最後の会食において……
このトリック、ある意味、究極系と言えるのだろうな。
ホテルでの会食。食事、となれば、当然に考えるのは毒殺というやり方。当然、一華たちもそれを念頭に置いて対策を考える。しかし、それを上回るやり方。そして、そのトリックが暴かれた上でのさらなるもう一撃……
先に雑と書いた数々のトリックを逆手にとっての方策。そして、その仕掛け人の、目的のためには……というやり方。それまでのやり方を上手く伏線として回収するやり方は見事の一言。ちゃんと、上巻でギャグそのものだった殺し屋退治とかの話もちゃんと伏線として機能しているし。
まぁ、何となく、一華の家政婦である橋田の正体が……というのは予想できていたものの、せっかくなら、この辺りについてはもうちょっと掘り下げがあっても良かったかな? という感じはする。予想はしていたとはいえ、流石に唐突感は否めない。それがエピローグのためにも必要だとわかっていたとしても。
相変わらずのヘンテコな話、という意味では期待通りだったし、トリックの見せ方などは流石と思う。ただ、キャラクター小説的な意図を出していたのであれば、もうちょっと途中で掘り下げがあっても良かったんじゃないかな? そんな気もする。

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  • 2017.10.24 (Tue) 22:49 | 刹那的虹色世界