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(書評)あなたは嘘を見抜けない

著者:菅原和也



1年前、無人島の廃墟ツアーで恋人の美紀を喪って以降、引きこもり生活を続ける高辻。「ただの事故だった」 参加者たちの証言を信じられない彼は、ひょんなことからその参加者の一人を殺してしまい、事件の真相を探る。一方、廃墟ツアーで孤島を訪れた大学生・亮太だったが、その廃墟の中で参加者の一人が何者かに殺されて……
冒頭に書いたように、物語は恋人を失った青年・高辻がその真相を探る、というものと、孤島ツアーに参加した亮太がそこで殺人事件に巻き込まれる、という二つの視点で展開する。ここでピンと来る人はピンと来るかも。
一つ言えるのは、「嘘つきたちの騙しあい」ではないよな……これ、ということ。
恋人の死の真相を探る高辻。長らく引きこもり生活を続けていた彼だったが、当時の参加者の一人を思わず殺してしまったことで、却って真相を探ろうという気持ちになっていく。「ただの事故」 参加者たちはそう言う。しかし、そこには何かを隠している雰囲気が。ますます、気になり、別の参加者を探るが、やたらと自分におびえた態度と、口を割らないことで再び思わず……。一体、何を隠しているのか? 思わず、で、殺人を犯してしまう主人公なので、異常なことは異常なのだけど、調べれば調べるほど参加者に対して疑惑を持っていく、という気持ちはよくわかる。その匙加減が絶妙。
そして、孤島での殺人事件。戸惑う亮太の前に現れたのは「ミキ」という女性。殺人が起きており、しかも、密室殺人というのにやけに落ち着いたその女性に抱く違和感。彼女は一体何者なのか? そして、高辻の話とどうつながるのか?
先に書いたように、物語の構成からピンと来る人はピンと来ると思う。とはいえ、私は完全にしてやられたわけなのだが。
この点については、あまり言及できないのだけど、2つの物語をうまく組み合わせている、というのは間違いない。それ以上は言わない(笑)
帯描かれた「騙しあい」要素はぶっちゃけ、ない。でも、人間が疑心暗鬼に陥っていく様とかについては、十分にリアリティがあり、面白かった。

No.4544

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