(書評)病弱探偵 謎は彼女の特効薬

著者;岡崎琢磨



幼馴染の貫地谷マイは、身体が弱く、何かあるごとに病に伏せってしまう。僕、山名井元気は、そんな彼女にプリントなどを届けるのが仕事。そんなマイは、ミステリ小説が好きで、謎を解くのが好き。そこで僕は、学校で起こった不可解な出来事をマイに教えるのだが……
という短編集。全6編を収録。
物語の形は、いわゆる「安楽椅子探偵」の形式。まぁ、ヒロインであるマイはベッドに伏せった状態で、なので、出版社などの紹介文では「寝台探偵」なんて書かれているけど。
最初に書いておくと、物語としては基本的にワンパターン。主人公の元気が、病で欠席したマイのもとを訪れる。そして、そこで学校で起きた不可解な事件について話し、マイがそこに推理をする。それをもって解決に乗り出すが、新たな事実などもあり、推理は間違い。そして、新たな事実から本当のことを……。大体、このパターンで物語が描かれていく。そして、謎が解明されてすっきり、というよりは、その上でもやもやとしたものが残る、という話が多いように感じる。
お年寄りが一人で店番をしている書店で、不良生徒が万引きを。その証拠写真も撮って店長に見せたが、在庫などを調べてもそんな被害は生じていない。では? という『夏風邪』。足し算、引き算で考えればその行動の理由は明らか。でも、その不良生徒ではないところに思わぬ真相が出てしまう、という皮肉さが印象に残る。
花火大会での、真面目なクラスメイトである大平さんの出来事を描く『IBS』。最初は確かに浴衣でいたのに、先輩と一緒にいた後、なぜか普通の服に着替えていた。しかも、髪などは乾ききっていない状態で……。これも、謎解き要素はそれほどない。出てくる情報を積み重ねれば真相は簡単。けれども、その意図。見方によっては、情熱的、と言えるだろうモノが瞬く間に醜悪に感じられる、という空気の変化の仕方がうまいと感じる。
もっとも、体育祭の人文字が何者かに妨害された、という『片頭痛』は、後味の部分はともかくとして、謎そのものに無理があるように感じる。そのトリックで同じような状況が再現できるものだろうか? 明らかに使われたものの音などが異なるように思えてならないのだが……
また、もう一つ気になる箇所としては、各編、タイトルにマイの病が出てくるのだが、それが謎などとあまり関連づいていない点。「この病気は……」とか説明も多いだけに、何か関連するのかと思いきや……って感じなのだ。勿論、普通に考えて病と学校の謎が関係するわけはないのだけど、物語としてタイトルにも使われるなら、何かしら、関連性を持たせても良かったんじゃないかな? などと思える。

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