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(書評)甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ

著者:知念実希人



都内各所で若い女性が次々と首を絞められ、殺される事件が発生。警察は、現場に残っていた血痕のDNAを採取し、容疑者を割り出すが、その容疑者は4年前にすでに死んでいた……。しかし、にも関わらずに続く事件。死者の復活? それともトリック? 天久鷹央は、事件の調査に乗り出すが……
シリーズ8作目で、3作目の長編作品。
冒頭に書いたように、事件現場に残されていたDNAを採取。被害者と少ない接点を持つ人間を調べたところ、DNAが近い人間を発見。そこから導き出された結論は、その人物の兄弟であろう、ということまでがわかる。そして、確かに、その人物には兄がいた。しかし、4年前にすでに死亡。と、なると……? しかも、その死を確認したのは、鷹央自身だった。その人物は絶対に死んでいるはず。ならば……
ここで、その人物の母親が新興宗教にはまっていて、その教祖は、人間を甦らせる力を持っていた……という方向に行くのは……ちょっと、ってのはある。だって、このシリーズ、やたらとそういう系の話、多いんだもの(笑) まあ、当然というか、それは全くのインチキだった、というのが判明。となると、その人物には、知られていない兄弟がいた???
しかし、調べても、そんな兄弟がいた形跡が見当たらない。そして、その間にも次々と殺人が。しかも、ヒントをくれそうな人物まで殺されてしまう、と警察の行動を先回りするような殺人まで。そのような中で、鷹央が導き出した結論は……
「こんな仕掛け、見たことがない」
帯に記された島田荘司氏のコメントだけど、確かに、これはマニアックな医学知識がない人にはわかりようがない。トリック、という意味では。ただ、登場人物が少ないので、消去法で「この人だろう」ということは想像ができる。むしろ、著者が描きたかったのは、その上での犯人とのやり取りかな?
生来のことで、歪んだ思想を持つようになってしまった犯人。では、鷹央自身は? 鷹央もまた、発達障害というものを抱えた存在。それゆえに、トラブルを引き起こし、その一方で、興味を持ったことに一直線で突き進んできた人物。確かにベクトルは違う。しかし、「怪物」という意味では同じではないか? しかも、犯人は捕まれば死刑は確実。となれば、その特徴を生かして「人を殺した」ことになる……
勿論、犯人の言葉は詭弁に過ぎない。しかし……
トリックとか、そういうものだけを見れば、短編で出来るネタかも知れない。宗教云々の話は、結構、横にそれた感じもする。でも、そういうのを入れることで、終盤の犯人の言葉が、鷹央に突き刺さる。そういう狙いだったのだろう、と思えてならない。

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