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(書評)捕まえたもん勝ち!2 量子人間からの手紙

著者:加藤元浩



念願の捜査一課に配属されたものの、その直後、元アイドルであり、警察官僚となった七夕菊乃は、アメリカ・ボストンへ赴くことに。というのも、ボストンで起こった殺人事件で、量子人間を名乗る者から、留学中の外交官の息子に殺害予告をされたため。天才にして、壊滅的な変人・深海安公と共に現地に向かうのだが……
タイトルの通り、シリーズ第2作。
正直なところ、前作はキャラクターの顔見せというような感じで、あまりにも「こなれていない」という感じがしたのだけど、2作目になり格段に面白くなった。
冒頭に書いたように、量子人間と名乗る者から届いた犯行予告。そこには7人の人間を殺す、ということが書かれており、その中に外交官の息子も。そして、すでに3人が殺害されており、しかも、その現場は密室状態。壁などを通り抜けることが出来る、という量子人間なる存在がクローズアップされる。そして、犯行予告をされている7人は、実は麻薬を使用するグループであり、その取引相手であった女性を危険な取引に向かわせて殺してしまった、という過去を持っていたことを知る。そして、そんな彼らは、厳重な警備がされたホテルで実際に、密室状態で殺されてしまう……とつながっていく。
量子人間、ということで、量子力学についての話とかが出てきて、それは何なのか? というような蘊蓄が出てくるのだが、なるほど、わからん!
ただ、そういうことがわからなくとも、十分に楽しめる。
先に書いたように、犯行予告をされた人間には恨まれる動機がしっかりとある。そして、様々な証言などから、そのことを知り得た人間は数少ない。仲間内に犯人がいることも予測される。しかし、では誰が? それを考えるとどのように殺害したのかがわからない。密室のトリックを暴かねばならない。それはどうやって?
トリックそのものは結構、力業な部分もある。でも、一つ一つ、可能性をつぶしていってそこで、というのは十分に論理的で納得ができるものだし、その犯人が、実際に発端となった女性を殺した人間ではなく、死地へと向かわせた存在を恨んでいた理由もなるほど、と感じられた。そういう意味で、本格推理モノとしての出来がよく、非常に楽しむことが出来た。
ただ、その一方で、菊乃を巡る警察上層部のいざこざはちょっと強引かな? という感じも。キャリア官僚は蹴落としあいである出世競争、っていうのは確かなのだけど、菊乃を蹴落とすために、あまりにも無謀なやり方をしている人たちとか、ギャグとしても流石にやりすぎでちょっと……という風に思えてしまう。まぁ、1巻と違い、ちゃんとタイトルである「捕まえたもん勝ち」というのが掛け声となって捜査一課が一丸となる部分は良かったのだけど。
そういう意味で、キャラクターが滑っている感は多少ある。でも、物語の展開のさせ方。そのトリック。そういうものがしっかりとしていて面白く読むことが出来た。

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