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(書評)ハラサキ

著者:野城亮



幼少期の記憶がほとんどない百崎日向は、結婚が決まり、「腹裂き」の伝説が残る故郷・竹之山へと戻る。しかし、その途中の電車で意識を失い、異世界へと迷い込んでしまう。女性の死体。襲い掛かる黒い影。残酷な悪夢。そんな中で、記憶を取り戻していき……
第24回日本ホラー小説大賞読者賞受賞作。
結構、シンプルな話だな、というのを感じる。冒頭に書いたように、異世界へと迷い込んでしまった日向。そこで彼女を襲うのは、様々な怪異。小学校時代の同級生(らしい)沙耶子と共に、それらから逃れつつ、異世界から抜け出すためのヒントを探していく。そして、そのカギとなるのは、失った彼女の記憶を巡る旅……
そんな日向の冒険と、同時進行で進むのは彼女の婚約者である正樹の物語。突如、連絡がつかなくなった日向。しかも、その持ち物であるカバンが道に落ちていたことで、何か異変があることを察する。しかし、警察に伝えても反応は鈍い。焦る正樹に対し、日向の親戚で、彼女の過去を知る警察官・俊一は、彼女の過去を語る。そでは、日向の幼少期に起きた凄惨な事件……
日向の過去、というか、事件の原因となった事件そのものの凄惨さは確かに印象的。子供故の残酷さ。その中での、「あの人を助けたい」という思いのすれ違い。それが、物凄い憎悪へとつながっていく。その部分については非常によくわかる。こういうケースの場合、直接の加害者よりも……っていうのもあるだろうし、いったんは終わったと思っての意地の悪い結末っていうのも良い。
ただ……
読んでいる最中は、何かよくわからない化け物に襲われました。何とか、そこから逃げながら、次のヒントとなる場所へとたどり着きました。そして、再び……というある種、ワンパターンな流れになっているので、分量のわりに長く感じられてしまった。また、消去法で黒幕が誰なのか? というようなところも想像がついてしまう。その辺り、ちょっとイマイチだな、と感じるところも。それに、現実的に考えて、過去の事件については、警察があまりにずさんじゃないか? とか、そういうのも思わずにはいられない部分があるし……
描きたいところ。最後の落としどころは良いのだけど、全体を通すともうちょっと、という感じだろうか。

No.4571

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