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(書評)語り部は悪魔と本を編む

著者:川添枯美



デビュー未確定のまま、拾い上げ作家として3年もの時間を費やしている中村雄一は、ある日、理想の女性・絵美瑠と出会い、交際をすることに。そんなある日、拾い上げてくれた出版社の編集長から紹介された「担当」は……なんと絵美瑠だった。動揺をしつつも、雄一のデビューのため、恋人として、そして、作家と編集者として歩もうとするのだが……
最近、結構見かける作家とか、業界モノ。私が読んでいるものでも、『妹さえいればいい』(平坂読著)とか、『14歳とイラストレーター』(むらさきゆきや著)とかがある。まぁ、流石に『犬とハサミは使いよう』(更井俊介著)はそこには入らないけど(笑)
ただ、これらの作品というのは、すでにプロとして活動をしている主人公で、その日常を中心に描きつつ、その中での葛藤とか、そういうものをスパイスとして取り入れている作品と言えるだろう。それに対し、本作はデビューを目指しての葛藤そのものが主題として描かれた話と言えるだろう。
ライトノベル作家を目指し、そのためにバイトをしつつ執筆をつづける雄一。しかし、編集長から意見をもらえることすらない。それでもめげずに執筆をつづける日々。そんなときに紹介されたのは、恋人となった絵美瑠。新米編集者であり、過去、漫画雑誌で失敗してしまったという過去を持つ絵美瑠は、雄一を励まし、色々と手助けをしていくのだが……
作家とは何なのか? 作家と編集者は違う。そして……
作家としての3つの壁。デビューの壁。ヒットを出す、という壁。ヒットを出し続けるという壁。まだまだ雄一には、その最初すら超えられないでいる。しかし、ではデビューすれば良いのか? と言えば……
確かに、書く側が「書きたい」ものと、では、それが面白かどうか、というのは異なる。特にジャンルというものを考えれば余計に。しかし、そんな悪い部分を長所として、作家は勘違いしてしまう。だからこそ、編集者という存在が必要となる。しかし、絵美瑠も、雄一も互いにそのことに気づいていない。そして、その違いから、両者はぶつかり……。作家の立場としては、自らのものを否定されてしまったらやるせないし、腹も立つ。だが、じゃあ、それを続けていて良いのか? 作家と編集者は、同じ視点でいてはいけない。時にぶつかり合い、そして、戦い。その中でブラッシュアップさせねばならない。そんな編集長の意図というのはわかる。ただ……それを説明せずに、っていうのは編集長、スパルタだよな。……まぁ、これは言葉で言ってもわかるものじゃないし、互いに勘違いしているからこそ、あえてっていうのもあるんだろうし。そういう意味では、作家と編集者が恋人っていうのは、リスクが大きいのかも。
一応、物語は恋愛小説っていう部分もあるんだろうけど……なんか、自分は作家と編集者。その関係性とは何か? とか、そういうところばかりが印象居残ってしまった。これは、読み方として間違っているかもしれない(苦笑)

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