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(書評)オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3 奥様と最後のダンス

著者:太田紫織



夏も終わり、季節はすっかり秋。19世紀英国式の生活にも終わりが見え始めた中、奥様は舞踏会が開きたいと言い出す。実現のため、奔走するアイリーンこと鈴佳だったが、それは思わぬ形での実現へとつながっていって……
シリーズ完結編。
タイトルでわかるように、奥様が亡くなる、というのが物語の大きなポイントになっている。
物語の契機となる舞踏会。単なるイベントとしての舞踏会ならともかく、19世紀のイギリスのそれを再現するには、膨大な人員が必要で、そのためには金も必要。とてもじゃないが、オークブリッジ邸で行うのは不可能。そんなとき、役場が協力を申し出て……。しかし、それはイベントとしてのもの。だが、依頼にこたえるのも貴婦人の仕事ということで受け入れて……での開催。だが、その舞踏会が終わった直後……
病が再発した奥様。奥様不在の、普段のそれと違う邸宅。そして、奥様の最期のとき……
こういうと何だけど、第1巻のときは、イマイチ、この関係がよくわからない上に、いきなり本格的な19世紀の生活を、というところに突入して、「?」と思うところがあったのだけど、全3巻の内容を読む中で、アイリーンこと鈴佳と奥様。邸の面々との関係性が強く感じられるようになり、終盤、「終わりへ」という流れが何とも寂寥感を感じさせる。しかも、病に倒れながらも、自分に会いに来た相手は断らず、しかも、最も身近な存在である鈴佳のことを最期まで気にかけながら……
その後の紆余曲折もあるんだけど、それも含めて最期の最期まで奥様の人間性が貫かれていると思う。最後まで読み通すと、奥様が「貴婦人」というにふさわしい存在であるというのを感じられた。
自分自身は、1巻から、刊行されたら読む、という形で読んできたのだけど、これ、まとめて3巻を読んだ方がより、そういうのが感じられたのではないか、ということを思わずにはいられない。

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