著者:三田誠


呪いを招く特殊文化財を専門とする神祇鑑定人。就職活動に失敗し、神祇鑑定人である九鬼の下につくこととなった夏芽勇作は、九鬼に従って、イェイツの日本刀、キプロスの死の女神像、秀吉が愛した月の小面に関わっていく。そんな中、夏芽自身の秘密にも直面することになっていって……
これは良いバディもの!
冒頭の粗筋に書いたように、物語の中心となるのは、怪奇現象(呪い)を引き起こす特殊文化財を夏芽と九鬼(と、彼らの仲間)が、その呪いを解くために奔走する、という話。その特殊文化財に纏わる蘊蓄などを取り入れながら、何が原因なのか? とか、どうすれば? というのを解決していく物語。ただ、その中での九鬼と夏芽の関係性っていうのが印象的。
強面で、特殊文化財について豊富な知識を持つ九鬼。対して、新米で、ここが何をする部署なのかもいまだによくわかっていない夏芽。実は、夏芽は、犬憑きで呪いの「匂い」を感じることが出来る。しかし、それが判明し、そして、九鬼の過去が判明する中でだんだんと疑惑として浮かんでくるのは、自分は九鬼に利用されているだけではないのか? という疑惑。その中で……
作品の題材となる呪いを引き起こすものをどうするか? また、その中での相棒との関係、なんていうもの。どちらもテーマとしてはよくある話と言える。でも、だからこそ、夏芽が犬憑きなだけに、忠実な犬として、便利に利用されているだけではないか? という疑惑が浮かぶし、何も言わない九鬼の心情が何なのか? というものにも興味を覚える。それに、夏芽自身の悩みじゃないけど、そもそも、自分がまだその仕事を分かっていない状態で、それで色々な情報を与えられることで判断のしようがない、というのは凄く共感できるところ。
で、そんな蘊蓄とかを入れながら、呪いを説く方法を、というのと、夏芽と九鬼の関係っていうのがどちらも物語の進行を邪魔せず、しっかりと車の両輪として機能しているというバランスの良さは流石だな、というのを何よりも感じた。決して目新しいわけじゃないけど、著者の力量というのを感じられる作品じゃないかと思う。
しかし……物語の冒頭。屈強で強面な九鬼が全裸で和室に座っている、というその描写のインパクトで、いきなり「何これ!?」という読者を引き込むのは物凄い……
No.4615

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当記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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冒頭の粗筋に書いたように、物語の中心となるのは、怪奇現象(呪い)を引き起こす特殊文化財を夏芽と九鬼(と、彼らの仲間)が、その呪いを解くために奔走する、という話。その特殊文化財に纏わる蘊蓄などを取り入れながら、何が原因なのか? とか、どうすれば? というのを解決していく物語。ただ、その中での九鬼と夏芽の関係性っていうのが印象的。
強面で、特殊文化財について豊富な知識を持つ九鬼。対して、新米で、ここが何をする部署なのかもいまだによくわかっていない夏芽。実は、夏芽は、犬憑きで呪いの「匂い」を感じることが出来る。しかし、それが判明し、そして、九鬼の過去が判明する中でだんだんと疑惑として浮かんでくるのは、自分は九鬼に利用されているだけではないのか? という疑惑。その中で……
作品の題材となる呪いを引き起こすものをどうするか? また、その中での相棒との関係、なんていうもの。どちらもテーマとしてはよくある話と言える。でも、だからこそ、夏芽が犬憑きなだけに、忠実な犬として、便利に利用されているだけではないか? という疑惑が浮かぶし、何も言わない九鬼の心情が何なのか? というものにも興味を覚える。それに、夏芽自身の悩みじゃないけど、そもそも、自分がまだその仕事を分かっていない状態で、それで色々な情報を与えられることで判断のしようがない、というのは凄く共感できるところ。
で、そんな蘊蓄とかを入れながら、呪いを説く方法を、というのと、夏芽と九鬼の関係っていうのがどちらも物語の進行を邪魔せず、しっかりと車の両輪として機能しているというバランスの良さは流石だな、というのを何よりも感じた。決して目新しいわけじゃないけど、著者の力量というのを感じられる作品じゃないかと思う。
しかし……物語の冒頭。屈強で強面な九鬼が全裸で和室に座っている、というその描写のインパクトで、いきなり「何これ!?」という読者を引き込むのは物凄い……
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