(書評)天保院京花の葬送 フューネラル・マーチ

著者:山口幸三郎



千千良町にある廃墟・旧杜村邸、通称・幽霊館。そこで殺人事件が発生する。そこへ派遣されてきたのは、喪服に身を包んだ少女・天保院京花。第6感を備えた彼女は、そこであるものを見る。そして、そこから物語は始まり……
幽霊館ではかつて、「毒入りミルク事件」と呼ばれる多くの児童と館の主・時子が死亡した事件が起きていた。そして、その杜村家の人間でありながら、ゴロツキでしかなかった杜村鳶雄が今回、被害者として発見された。そして、その館に霊能者やら何やらが集まり始めて……
ええっと……一言でいうと、わかりづらい。
基本的に、物語の構成としては群像劇ということになるのだろう。京花。その京花のおつきとしてやってくる少年・人理。その人理をかつて、いじめから助けた元不良の刑事・竜弥。さらに、京花が毛嫌いしているアイドル霊能力者・行幸……といった面々が現れ、それぞれの視点で物語が綴られていく。その結果、色々なつながるが現れて、その中での人の負の側面、ブラックさが垣間見え、事件の真相が明らかにされていく……
それ自体は良いのだけど、時系列が色々と入れ替わり、しかも、杜村鳶雄が殺害された事件を探っていたと思ってら、第2章で今度はいきなりかつて、人理の同級生が幽霊館で失踪した事件へ……といきなり飛んでしまう……というような話の構成がされているため、一体、どこを物語の核にしているのだろうか? というところがわからなくなってしまう。結果、次々と登場する人物の関係などは明らかになっていくのだけど、事件そのものがほとんど進まないうちにページ数だけがどんどん費やされて行って何の物語なのかよくわからなくなってしまうのだ。挙句、京花については色々と裏にありそうだ、というのは示されても、その辺りは今後に、とだけで全く明かされない。
時系列に沿った形で綴れば、シンプルな話を構成によって複雑に見せた話、というのはしばしばある。しかし、本作の場合、複雑にした、というよりも、ただ単に読者を混乱させているだけに感じられ、ただ読みづらい、という感想が大きくなってしまった。部分部分ではいいところも多いのに……

No.4650

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