(書評)グランドマンション

著者:折原一



老朽化した賃貸マンション・グランドマンション1号館。まもなく、隣に高層マンションである2号館の建設が始まる、という中、騒音問題、住居侵入、ストーカー……次々とトラブルが発生して……
というグランドマンション1号館で起こるトラブルを描いた連作短編集。全7編収録。
著者の作品で、短編集っていうのは、かなり久しぶりに読む気がする。どちらかというと、長編を書く作家、という印象が強いだけに。ただ、読んでいて思うのは、スタイルとしては、長編のそれと似ている感じがする。高齢者が多く、アクの強い面々が揃うマンション。そこで次々と事件が起こっていくのだから。
全体的にみて、結構、後出しというか、後付け的なものが多かったかな? という印象。
例えば、1編目。音に敏感な男が気になるのは、上の階の子供がたてる音。その音に苛立ち、文句を言うのだが、ある時をきっかけにして……。その結末は、というのは予想できると思うのだが、そこで彼が音に敏感になったのは……という真相が語られる。確かにビックリはする。するけど、なんか後付け感が……
個人的に好きなのは5編目の『懐かしい声』。振り込め詐欺による被害が頻発するグランドマンション1号館。事態を心配した民生委員の高田は、マンションに住む、何をしているのかよくわからない一人の若者に目をつける。そんな若者は、同じような若者と、「世直しだ」などと意気込んでいるのを見るのだが……。著者の特異な叙述トリックというわけではないのだが、すっかり騙された、というのとちょっと明るい結末に安心することが出来た。
ただ、全体的に同じようなエピソードが続くし、また、すっきりしない話も多いだけに、続けて読むとちょっと食傷気味になるところがあるのも確か。1日1編くらいずつ読んだ方が楽しめるかもしれない。

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