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(書評)普通に生きるのって意外と難しくないですか?

著者:土橋真二郎



大学受験に失敗し、「普通」からドロップアウトしてしまった神尾幸太郎は、飯田橋周辺で過ごす野良エルフのベルタに拾われ、養われている。遊んだり、のんびりしたり……と気の向くままに日々を送る二人。そんな幸太郎をまっとうな道へ戻そうと、妹の澪は奮闘するが……?
こういう作品も書くんだ、というのがまず思ったこと。著者の作品は過去に『殺戮ゲームの館』などを読んでいるのだが、タイトルなどでもわかるように、どちらかというと殺伐とした文字通りゲーム的な要素が強い印象だった。そして、ちょっとキャラが弱い、というのも含めて。
ところが、今回は日常系というか、ダラダラ系とでもいうか……そんな感じの話。
一応、主人公の幸太郎は、受験に失敗して、じゃあ、ラノベ作家になるんだ! とはいうんだけど、一応、専門学校には入るものの、特に授業を受けるわけでも何でもなくて、ただダラダラと過ごす。本当にそれだけ。
正直なところ、話としては何がある、ってわけじゃないけど、ところどころに結構、シニカルな物言いがあるのが特徴かな? ライトノベル作家になる、と言ってKADOKAWA以外はラノベじゃない、とか言ってみたり(ついでに言うと、KADOKAWAは飯田橋にある)、アニメ化したら声優抱き放題とか、そこまで悪く言いますかいな……くらいのも。そういうところこそ、本書の見どころ、なのかもしれない。
そんな感じなのだけど、何か、終盤の話が印象的。
専門学校に学籍は作ったけど、まともに通ってすらいない幸太郎。そんなとき、声優学科の姫君、などと呼ばれ人気があり、しかも、ダメダメな幸太郎にバイトを紹介してくれたり、とか優しく接してくれた亜希がその夢をあきらめ、結婚する、という。夢へ、というものをやめ、現実へ……。モラトリアムってそういうものかもしれないけど、何か、しんみりとしてしまった。

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