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(書評)サハラの薔薇

著者:下村敦史



エジプトで発掘調査をする考古学者・峰が王墓の石棺から発見したのは、死後数か月程度のミイラ状遺体。直後に峰は何者かの襲撃を受けることに。それは何とか避けた峰だったが、今度は、彼の乗った飛行機が墜落。サハラ砂漠に取り残された峰は、同じく生存者たちと救助を求めて旅立つのだが……
物語の基本軸としては、砂漠に墜落した飛行機の生存者たちがオアシスを目指して旅をする、というもの。その中には、飛行機オタクだったり、粗暴な者だったりで、対立したりというものがあって……という形で話が進んでいく。
ただ、この作品において大きいのは、その中に、何らかの陰謀が含まれている、というもの。墜落直後、生存者を探して機内を回った峰に、瀕死の男が告げたのは、「永井という男を殺せ」というもの。いざ、生存者が集まる中、永井はむしろ、落ち着いた常識人。しかし、自分がどういう人間なのか、などについては殆ど告げないまま。さらに、粗暴な男・アフマドは、峰が発掘したものの横流しをしていることを知っており、彼を脅迫し始める。さらに……
単に、「こうした方がいい」という争いがおこるだけでなく、その裏に何か陰謀がある、ということを匂わせることでそれを強調する。そして、そんな思惑が入り乱れながら物語が進み、明らかになる真相は……
永井が言う「サハラの薔薇」の意味するもの。永井が言う「自分は電力関係の仕事」というのが大きなヒントになっているのだけど、サバイバルモノの物語が一転、社会問題を題材にした物語へと変化するあたりの切れ味は見事の一言と言える。
ただ……
そのことを巡って多いなる陰謀が張り巡らされるのはわかるのだけど、いくら何でも関係者が多すぎないか? しかも、飛行機を墜落させる、ということをして、しかも、っていうのは無理がないだろうか? その辺りの設定が出来すぎな感じがするのだ。それがちょっと気になるかな? とも思った。

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