(書評)少女を殺す100の方法

著者:白井智之



5つのエピソードを収録した短編集。
タイトルにあるように、被害者は「少女」。ただ、その中に色々と方向性が違っていて、バラエティに富んだ作品集だな、というのをまず思った。
まず1編目の『少女教室』。クラスの女子生徒が全員、殺された。しかし、21人いるはずの生徒なのに、20体しか死体がそこにはない……。一応、犯人側の視点で綴られるので、トリックとかはわかるんだけど……。結構、事件そのものは荒唐無稽。けれども、倒述ミステリの形で、どう転がるのかな? という緊張感があり、そこで引っ張られた印象。
話として一番面白かったのは、『少女ミキサー』。気づくと、なぜか巨大なミキサーの中に閉じ込められた少女たち。1日1人ずつ送り込まれてきて、5人になると、ミキサーのスイッチが入り、全員死んでしまう。しかし、5人になる前に誰かを殺し、5人にならなければ……。ところが、意図しない殺人が起きてしまって……
なんだかよくわからない世界設定。その中で、生き残るためには誰かを殺す必要がある、という異常な状況。そこから、意図しない殺人を犯したのは誰なのか? というのを論理的に考察していく。明らかに狂った世界観と論理性が共存していてこの作者らしさを感じる。
『「少女」殺人事件』は厳密には……というメタミステリ。自分の書いた小説の犯人を当ててみろ、という話なのだけど、ノックスの十戒をヘンテコな解釈によって謎解きにしていくという感じで、一種のギャグ小説なのかもしれない。
あとの2編は、何ともグロテスク。例えば、『少女ビデオ 公開版』は、死体処理のため、監禁した少女にその肉を食わせる、という話。もう、その描写だけでかなりエグい。また、『少女が町に降ってくる』は、差別とかが当たり前のように起こっている町で、しばしば起こる少女が降り注ぐ、という世界設定。勿論、その大半は激突死していて……とか……そういう描写が多くて……
以前に読んだ『東京結合人間』もそうだけど、やっぱり著者の作品はグロテスクな話になるんだな、と実感。ただ、短編ということもあり、論理性とか、そういうのではちょっと弱めだな、と感じる話が多かった気がする。

No.4718

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