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(書評)ソロモンの偽証 第2部 決意

著者:宮部みゆき





二人の同級生の死。マスコミによる苛烈な報道。当事者たる生徒を差し置いて、事態の鎮静化を図る大人たち。結局、なぜ二人は死んだのかわからない。このままでは進めない。藤野涼子は、そんな思いから学校内裁判を開こうと提案する……
3部構成の第2部。物語としては、「繋ぎ」という感じだろうか。
冒頭に書いたように、自分たちを置き去りにしたまま鎮静化だけが図られる中で進んでいくことに反発し、学校内裁判を開催する、ということを決めて……というところから、検察側、弁護士側に分かれて様々な情報を仕入れる、という形で物語が進んでいく。
まずは、涼子が裁判を、というところから。ここの段階での涼子側の策略が面白い。3年生がする「卒業制作」。そこで、裁判を、と提案する涼子。勿論、教師は抑え込もうとするし、涼子以外の面々も受験勉強などがあり、冷ややかなものも。しかし、わざわざ教師を挑発するような形で発言をし、そして、手を挙げさせる。そして、そのことで……。いきなり中学生とは思えないような駆け引きから始まって、繋ぎなのに引っ張ってくれる。そして、当初、涼子は、告発状で犯人とされた大出の弁護側として参加する予定。しかし、近隣の進学校の生徒・神原和彦が大出の弁護に回ることになり、涼子が検察側として参加することに。そして、当の本人である大出をどう参加させるのか? そして、告発状を出した主である樹理からどう話を聞くのか? そんなところに力点を置きながら物語が進んでいく。
作中でも書かれているように、この「裁判」というのは、「勝ち負けを争う場」ではなくて、「真相を明らかにする場」。だから、大出を糾弾する側たる涼子は、内心、樹理の告白状は虚偽のものであり、それが明らかになればいいと思っていたりする。そんな中でも、いや、だからこそ、色々と情報を……と動き回る。そして、明らかになっていく新情報たち……
同時に面白いのは、そうこうしている間に少しずつ事態が動き、別の謎が明らかになっていくこと。報道により、事実上、犯人として名指しされた大出。しかし、その大出の父を巡って警察も水面下で動き出す。大出家の(本当の)弁護士、さらに涼子の父、双方が言うのは「大出家の火事には手を出す」という言葉。そこにあるのは? さらに、神原と共に弁護側として動く健一が感じる、神原に対する疑問。健一が、実は、神原の父親は、母を殺害し自殺した、という過去を持っていることを知っている。だが、それだけではない何かを感じずにはいられず……。
そんな謎のいくつかは明らかになり、いくつかは第3部へ。しかし、その中で出てきた最後の爆弾発言。それが意味するものは……
相変わらずの分量で、しかも、繋ぎ、という立ち位置の巻なのに一気に読み進められるのは流石。第3部も楽しみ。

No.4719&No.4720

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