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(書評)インフルエンス

著者:近藤史恵



大阪郊外の巨大団地で育った友梨。彼女は、幼馴染の里子が無邪気に語っていたことの意味を知り、衝撃を受ける。何もできないまま、中学に上がった彼女は、憧れの同級生・真帆と友達になるが、暴漢に襲われたとき、その暴漢を刺してしまい……
友梨、里子、真帆という3人の女性の因縁の物語といったところなのだろうか?
物語は、小説家である語り部の元に、自分たちの話を小説にしてほしい、という手紙が届くところから始まり、その手紙の主が語る友梨視点の回想シーンを中心にして綴られる。時代的には、1960年代~70年代くらいの大阪郊外という感じかな?
巨大団地で学校の生徒も、その団地に住む子供たち、という世界。その中で、幼馴染の友梨と里子は仲の良い友達同士だった。しかし、「おじいちゃんと寝ている」という無邪気な一言が、その関係に罅を入れる。つまり、それは里子の家では……。少しずつ疎遠になっていく二人。中学に入ると、不良生徒と言われる側になった里子と、大人しい、どちらかというと学校の中では低い位置に見られるような立場になった友梨。そんな中、友梨は、東京から越してきて、孤高を貫く真帆と友達になる。しかし、そんな中、里子が付き合っている不良生徒が、その一人に暴行をし、死なせてしまい、その溝は決定的に。しかし、なぜか友梨が起こした殺人の犯人として里子が逮捕されて……
「頼んだわけではない」
「私の方が上手くやれる」
一つの事件、ある種の身代わり。そのことが互いに鎖となって、互いのことを縛り付けあう。友情、というわけではない。心の中のわだかまりもある。けれども、事件という楔があることによって赤の他人として縁を切ることも出来ない。何よりも、自分自身に対しても楔として事件があるために、断り切れず、周囲との関係にも一歩引いてしまう。そういうまさしく「因縁」という以外にない関係性を強く感じる。
一応、最後にひっくり返しはあるのだけど、それが主眼という感じではない。というか、それも含めて、この3人の因縁の物語と言えるのだろう。曇り空の巨大団地という表紙。それが、この作品の雰囲気を如実に示している。

No.4725

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