(書評)集団探偵

著者:三浦明博



東京への転勤が決まった青柳流人。家賃を節約するために入ることにしたのは、多摩にあるシェアハウス・シュアハウス銀杏坂。居住することになって知ったのは、そこに住まう人々は変人揃いということ。そして、住人の義務として、「探偵会議」に参加することが義務付けられていて……
という感じで始まり、色々な事件に住人たちが挑む連作短編集。
著者の作品を読むのはかなり久々なのだけど(実に6年半ぶり)、この作品、一言で言って……ミステリーか?
タイトルにある集団探偵。変人揃いの住人達。それだけ聞くと、変人だけど、色々な技能とかを持った人々が、起こった事件に対してそれらの技能からアプローチして謎を解く……というようなものを想像すると思う。ところが、いざ読んでみると、謎が謎として機能しておらず、行動派の住人たちが、色々と引っ掻き回して、気づいたら真相がそちらの方から明らかになる、という感じの話が多かった気がする。
例えば1編目『クマ出没事件』。文字通り、最近、シュアハウス銀杏坂周辺でクマの目撃談が出ている。もし、クマに襲われたら……。クマを避けるために、ああしよう、とか話し合いをし、逆にクマを捕まえてはどうか、と罠を張る。そして、いざ、クマが現れたとき……。ぶっちゃけ、これ、謎解きしてないからね(笑) 一応、実は……という真相はあるのだけど、推理の末にたどり着いた、というよりも勝手に真相の方からやってきただけ、という感じ。2編目『逆・振り込め詐欺事件』も同様と言える。
ミステリーっぽくなってくるのは4編目『浮気殺人事件』から。流人のかつての同級生の恋人が何者かに殺害された。同級生は、重要参考人として警察に呼び出され取り調べを受けることに。そんな中、同級生を救うため、事件を調べることに。同級生の家の周囲の人々に聞き込みをし、その中で、奇妙な態度を取ったのはその隣人。態度そのものがいかにも何かを隠している様子だし、しかも、ストーカーに悩まされている、というのに、次の段階では……。犯人は、明らかなのだけど、奇妙な状況を整理して真相を、というのは楽しめた。
どちらかというと、ミステリーというよりも、キャラクター小説。ユーモア作品として読むべき作品なのかな? と感じる。ただ、峠、小夜といったあたり以外のキャラにイマイチ、存在感を感じなかったり、とそれでもちょっと弱い感じはするのだが。
ただ、主人公の流人じゃないけど、みんなでわいわいと話し合ったり何なりってのが楽しそう、というのはよく感じられた。

No.4751

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