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(書評)死なせない屋

著者:七尾与史



医師免許国家試験に失敗し4浪が決定した良太。途方に暮れている彼に、謎の美女が声をかける。アルバイトとして、「死なせない屋」をしないか、というのだが……
いつもながら、トリッキーな設定での物語。ただ、意外というと失礼だけど、ちゃんとミステリーをしていた。
物語は、3章構成で、第1章で、良太がスカウトをされ、いきなり拷問の末、死にかけている男の救助活動に駆り出される。そこは、特に謎とかなく、終わってしまうのだけど、第2章、第3章は独立した物語となっている。
で、第2章。死なせない屋に来たのは、「三茶キラー」と呼ばれる殺し屋に狙われている、という男。デイトレーダーだが、投資に失敗。自暴自棄になって依頼をしたのだが、その後、宝くじに当選し、死にたくなくなった。依頼から1週間以内に相手を殺す、というその期限まであと1日。何とか、生き延びたい、というのだが……
「三茶キラー」という殺し屋の噂はあるものの、しかし、実際にいるかどうかもわからない。ヒントととなるのは、かつて存在したマイナーなバンド。そして、依頼人を集めるという喫茶店のマスター。なんか、著者のデビュー作である『死亡フラグが立ちました』的な殺しの手口などを示しながらも、だんだんと、その殺し屋の正体へ……。同じ大学、同じゼミの出身? そして、彼らの恩師が研究していたのは……。終わってみると、何てことのない話かもしれないけど、どういう風に話が転がっていくのかが読めず、なかなか読み応えのある話だった。
第3章は、自分が書いた小説のキャラクターに狙われている、という作家。そのシリーズ完結が迫る中で? はっきり言って、妄想のようなもの。そう考えていると、なぜか、その作家の周辺で殺人が起こって……。こちらは、その作家の小説の内容がクローズアップされてくる。オリジナルだ、というが、なぜかそっくりの未解決事件があって……
こちらも、話自体がかなりひねられたもので、その意味では面白かった。ただ、その背景にあるものは、ちょっとご都合主義的かな? その点ではちょっと残念かな?
全体を見渡せば、神楽の過去がどうなのか? とか、断片だけでもっと掘り下げてほしかった、っていうのはあるかな? この辺り、もしかしたらシリーズ化前提なのかも……

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