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(書評)レッドリスト

著者:安生正



記録的寒波に襲われた東京で、原因不明の感染症が発生。厚労省職員の降旗は、国立感染症研究所の都築と共に原因究明にあたる。だが、そんな中、六本木で無数のヒルに襲われて女性が死亡する事件、さらに地下鉄構内では、バラバラにされた複数の遺体が発見され……
雰囲気としては、デビュー作『生存者ゼロ』に近いかな?
著者の作品としては比較的よくある多視点での物語。一応、ネタバレになってしまうのでいうと、東京都内で発生した感染症。そして、大量に蠢くヒル。さらに、バラバラ死体。そして、ヒルでは感染源とならない感染症の広まり。では、その原因はいったい何なのか?
当初の感染症の原因が何なのか? その理由が解明されたと思ったら、しかし……というひっくり返りが発生していくため、「え? これじゃないの?」というサプライズが良い感じで続くため、どこへ転がっていくのかわからない流れに翻弄され、一気に読ませる力がある。
そして、その中で出てくるテーマが「進化」という言葉。
作中で「進化とは、長い時を経て起こるものでは?」という問いかけがあるのだけど、そんなことはない。外見的なものが、というのは一気にはいかないかもしれない。けれども、環境の変化。そして、その環境での生存競争は一気に生態を変化させる。そして、その環境での覇権を手にし、個体数が増えすぎたとき……。中盤までの諸々もグロテスクで恐ろしさがあるのだけど、終盤、「ソレ」との対決となったときの恐ろしさは群を抜いている。作中でも描かれているのだけど、人間じゃ手の打ちようがないもの。でも、そんな存在でも、「進化しすぎた」が故に陥ってしまった欠点故の全滅というのも面白く読めた。そういう点ではよかった。
ただ、主人公の一人である降旗周りの人間関係。ただ、メンツを保つだけに揚げ足取りで点数稼ぎをする上司とか、そういうのがちょっと鬱陶しい。そして、この事件を導いた存在は……。正直、別の意味で著者らしいのだけど……そこで締めるのか、という感じでちょっと白けてしまった部分もある。

No.4765

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