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(書評)最後にして最初のアイドル

著者:草野原々



第4回ハヤカワSFコンテスト特別賞、第42回星雲賞(日本小説短編賞)受賞作である表題作など、3編を収録した短編集。
正直なことを言うと……アイドルやら声優って何だっけ? というのを読みながら凄く思った。
表題作。幼いころからアイドルが大好きで、高校時代、学内でのアイドル活動していた古月みか。お嬢様である新薗眞織と親友になり、そして、卒業後も活動を続けることに。しかし、全く芽が出ず、悪徳プロダクションに騙され、自ら命を絶つ。しかし、眞織はその医学知識を駆使し、その肉体の復活を試みて……
これで、普通のアイドルとして活動をする、っていうのならば何となくわかるんだけど、地球は太陽の黒点運動により滅亡の危機に陥っており、人々は争いを続ける状況に。その中でみかは、殺戮と進化を繰り返し、世界を席巻していく……。「次のアイドル活動が始まった<復讐>だ」とか、平気で出てくる。アイドル活動に「復讐」って何? って感じでしょ? 地球だけでなく、宇宙単位での話にまで広がっていって、そして、そもそもアイドルって……で落ち着いてしまう。最早、わけがわからない感じではあるんだけど、その疾走感に引き付けられた。
収録作で好きなのは『エヴォリューションがーる』。ふとしたことで、ソーシャルゲームをはじめ、そこにどっぷりとはまってしまった洋子。しかし、不慮の事故で死亡。だが、死の直前に回したガチャの結果、アメーバとして復活して……
主人公、死にすぎ(笑) ただ、こちらはアメーバから、ガチャを回して得たもの。そして、その時々の状況により、洋子はアメーバから進化していく。こちらも、殺し合いがあったり何なり、っていうのは共通しているんだけど、意外と生物の進化ってこういうものじゃなかろうか? なんて思えてしまうのが凄い。日々の生活の中で獲得してきた特質。そして、危機的状況で、それを打破するために獲得するもの。それが本当に役に立つのかどうかはわからない。けれども、そうやって自らを変え、そして、その中で生き残るというのが、「生物の進化」じゃないだろうか? なんか、そういうことを考えずにはいられなかった。
どの作品もそうなのだけど、物語の規模がこれでもか、と広げられる発想の突飛さ。そして、その広げに広げた物語をバッサリと閉じる風呂敷の畳み方。疾走感と、予測のつかない展開に翻弄された。

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