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(書評)住みたいまちランキングの罠

著者:大原瞠



近年、様々な形で「住みやすい街」ランキングが発表されている。少子高齢化、人口減少という状況になった日本において、各自治体は、人口減に歯止めをかけるため、そのようなランキングの上位を目指し、住民サービスの向上を図っている。しかし、そこには様々な落とし穴があるのだ、ということを綴った書。
うーん……。読んでいて「一理ある」と思うところはあるんだけど、なんか、素直にその通りだ、と感じづらかったなぁ……
例えば、第1章。待機児童という言葉が注目され、認可保育園の充実なんていう言葉が行政サービスで注目される。大規模なマンション建設などにおいて、「認可保育園があります」なんていうのが宣伝文句として謳われる。しかし、認可保育園はどこに入れるのか? とかは、自治体が決めるものだから、大規模マンションにあったとしても、その住人が入れるとは限らない。下手をすれば、大規模マンションの住人が誰もいない、ということだって起こり得る。しかし、その保育園を設置するためのインフラ整備などをマンション購入者が負担せざるを得ない場合だってある……なんていうのは、「なるほど」と思ったし、「認可=良い」「認可外=悪い」という二分論は早計だ、というのもその通りだと思う。ただ、その一方で、認可外はそもそも色々とある、と言いながら「認可外は保護者ファーストだから、実はねらい目」というのはちょっと強引じゃないか? って気がする。
いや、終章で語られるように、そもそも自治体の役割には生活に必要なインフラの管理・維持などがある。しかし、それは表から見えづらいもの。一方で、認可保育園の数とかは、多く注目される。住民サービスの充実という指標が出ることにより、そのような見えやすい部分にばかり資本が投入され、本来必要な部分が後回しにされ、破綻したのでは目が当てられない、というのは全くその通り。納得できる部分は多くあるのだ。
ただ、一方で、そもそもの価値基準の違いじゃないのかい? と思える部分がしばしばあるのが気になるところ。それが顕著に表れるのが、第4章。
色々な文化施設があるのは良いことなのか? ということに疑問を呈している章である。体育館とか、競技場があれば良いのか? 図書館があれば良いのか? っていうのだけど、これはそもそも、その人の価値観じゃなかろうか? 確かに、それらがあっても利用する人はその一部だろう。でも、そのことを知った上で、自分にとっての「良い町」選びの指標とするのは十分にアリだと思うのだが。また、鉄道の高架化などについてその高架化したエリアの周辺住人しか恩恵を受けないけど、その負担は自治体全体にのしかかる、っていうのは、それを言い出したら何もできなくね? 例えば道路の整備とかだって、全部を一律に行うことは出来ない。色々な地域の事情をくみ取って、そこに優先順位をつけ調整していくのが政治ってものなわけだし。大体、「〇〇線が高架化されるからこの町に住もう!」っていう人、いるのかな? なんか、この章は、イチャモンをつけているだけの内容と思えてならなかった。
というか、そもそも論として、ランキングってある指標で数えると、というものに過ぎない。だから、それで上位に来たとしても、別の側面で見ると……っていうのは当然のこと。そのことをまっすぐに伝える、というのであれば良いのだけど、著者の主義主張が強く出過ぎていて、どうにも反発を覚える部分が多いなぁ……という風に感じてしまう。明らかに、書き方の問題だよな、と感じる。
あと、第7章の、マンション購入と賃貸、どちらが得か? は、そもそもの本論から外れている気がしてならなかった。

No.4787

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