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(書評)スーパーカブ3

著者:トネ・コーケン



小熊がスーパーカブと出会って1年。高校3年に進級し、進路についての話も出始める……
椎の妹でサバイバル少女である慧海が登場したり、夏休みに富士山登山のバイト(?)をしたり、とか、そういう話が挟まれるのだけど、正直、そこは結構、どーでもいいな、と感じてしまった。っていうか、クロスカブで富士山登山をするバイトに一介の高校生が、ってどういう状況なんだ? というのはどうしても感じてしまったし。
ただ、そんな中に横たわる進学をする、という選択肢の中での話は色々と考えさせられる。
推薦入試によって都内の大学に入れそうだ。しかも、格安な大学の寮ににも入ることが出来る。両親がおらず、生活保護を受けながらの日々において、それは将来に向けての大いなるチャンス。しかし、一つだけ問題があるとすれば、その寮では、バイク禁止である、ということ。そんな寮に入るかどうか、というのは先送りにしつつ、先に書いたような日々を送る中、小熊のカブに訪れるのは故障の連続……
これ、自分が上京して、という経験から考えてもこの話って身につまされるものがある。はっきり言って、都内、少なくとも都市部での生活において、バイクとか、自動車って必要がないんだよね。その意味でいえば、バイクを捨てる、という選択肢はあってしかるべきものと言える。しかも、そこに入り込んでいくのは、バイクを維持する、という問題。
先に書いたような境遇の小熊。基本的にバイクは金食い虫である。購入から1年。大きな故障がなくここまで来たのはただ、偶然だっただけであり、そもそも自分がバイクを維持するなんて無理なのではないか? という思いに包まれていく。バイクのことは忘れて、学生寮での生活をし、大学を卒業すれば……。そんなとき、礼子が示したのは……
ここから先は、予想通り、なのだけど、ある意味、バイクというものに対する世間の評価とか、そういうのも含まれているのかな? と感じる。はっきり言って、趣味がバイクというと野蛮とか、不良とか、そういうイメージがどうしても付きまとう。でも、どんな趣味であっても、その中に色々とあるし、人間関係とか、そういうものも様々。その中で、自分は本当にそれが好きなのか? 自分は何が好きなのか? そして、それをしっかりと向き合うんだ、という決意を固めた結末は凄く爽やかでよかった。

No.4793

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