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(書評)震える教室

著者:近藤史恵



芸術科コースで名を馳せる名門女子高・凰西学園の普通科に入学した真矢。怖がり屋な少女・花音と仲良くなる。そんな学校では、歴史があるがゆえに、様々な「怪異」の噂が……。二人は「出る」と噂のピアノ練習室で、虚空から延びる血まみれの手を目撃する。そして、その日以来、二人が手をつなぐと「見える」ようになって……
という連作短編集。
初出が怪談誌『幽』に掲載されたものを集めたということもあり、怪異を題材にした作品集と言える。ただ、真矢と花音の関係性、そして、その怪異は何なのか? という謎解き要素もあるため、おどろおどろさ、というよりもホラー要素のあるミステリ作品という趣になっている。
例えば2編目の『いざなう手』。階段から転落する少女を庇って怪我をしてしまった真矢。転落した少女は、バレエ科の生徒で、貧血で倒れたのだと言う。無理なダイエットを、というわけではないが、食欲がわかない、という彼女を「手」が掴んでいるのを真矢と花音は知って……。きっかけとなったのは、その少女が、先生を変えたこと。そして、その先生の弟子が、奇妙な出来事に遭遇していて……。この話が面白い、と思ったのは、「おそらくはこうだろう」という概要が何となくわかること。先生とその娘に起こったこと。バレエの世界の過酷な生き残りのアレコレ。そこから予想は出来る。しかし、その肝心の先生が死んでしまって……。何となくわかるが、しかし、それ以上、知りたくない、という真矢の想いと共に終わる、嫌な余韻が印象的……
3編目の『捨てないで』。地下アイドルである姉が自殺し、ストーカーに悩まされる少女。彼女を守るために行動する真矢だったが、そのストーカー男は、実は、姉の恋人だったと告白し……。ストーカー騒動から一気に話が別の方向へと転がり、真矢ではないが、「ほっとして良いのかどうか」という結末へと至るひっくり返し方が印象的。それと当時に、ある意味、賞味期限の短そうな小道具を使っている、というのも印象に残った。これが、文庫化するころ、これはどのくらい「主流」として残っているのだろう?
著者は、大阪出身で、物語の舞台となるのも大阪が多いのだけど、それ故に、と感じたのが6編目『水に集う』。水泳の授業の補講で起きた出来事。教師のパワハラとか、そういうものを題材にしているが、その中で一つ、不可思議なのは、教師がプールに入ろうとしないこと。それは……。私は関東育ち、関東在住なのだけど、考えてみれば……という感じ。これ、関西出身の人だと「これかな?」という感じになるんだろうか? そんなことを思った。

No.4803

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