(書評)すずらん通りベルサイユ書房 リターンズ!

著者:七尾与史



日本一の本の街・神田神保町。そこに店を構える新刊書店・ベルサイユ書房で、テレビでもお馴染みの有名写真家・ジョージ久保田のサイン会が行われることに。ところが、それは何者かの脅迫によって中止に追い込まれてしまう。彼の写真の中に、脅迫者にとって都合の悪い何かが移っているらしい。剣崎店長の指令により、研介ら店員は写真の謎を追うことになるのだが……
タイトルからわかるように、シリーズ第2作となる作品。
写真家・ジョージ久保田の写真に写ったものは何なのか? 一応、長編ではあるものの、かつて、写真展を開いたときに、何者かに切り付けられた写真の中の、気になる部分は何なのか? というを1つ1つ探っていく形であるため、どちらかというと連作短編のような構成になっている。
10年以上にも渡り、演劇・映画関連の書籍を扱う書店の前に座っていた老人の正体。喫茶店から出てくる男女の関係性。数作だけ発表して消えた覆面作家の正体。セクシーな姿でたたずむ女性が見ているもの。そんな謎を解き明かす形で物語が展開していく。それぞれのエピソードについて、カラーが異なったエピソードになっていて、なかなか楽しい。
個人的に好きなのは、店の前にいた老人かな? 10年以上、毎日のように通い続けていた男。別に店員でもなく、むしろ、邪魔とすら思われていたが、いつしか、その存在が名物になっていた。しかし、ある時から、突如としてこなくなった。そのきっかけとなったのは……。神保町の、滅茶苦茶にマニアックな書店だからこそ、という舞台設定がしっかりと活きており、面白かった。
また、覆面作家の正体。この覆面作家は、実は大御所作家の別名では? という疑惑が出る。そして、そのヒントは好評だったのに、完結してしまったシリーズで……。ミステリ作家を志しながら、このトリックに気づかない研介……ってのはある(笑) でも、いかにもど真ん中の暗号ミステリっていうのも楽しかった。
そういう途中の話に比べ、本来の部分の印象が弱いかな? と感じた部分はある。ただ、舞台設定を活かし、短編のように様々なエピソードを入れてくる様は面白かった。

No.4806

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