(書評)ホーンテッド・キャンパス 墓守は笑わない

著者:櫛木理宇



こよみとの関係が進展したと喜びをかみしめる森司。だが、身に覚えのない「森司が美女と一緒にいた」という噂が広まってしまって……
てな話を横に進められるシリーズ第13作。全3作を収録。
怪異の存在はあるんだけど、今回もまた、人間関係のもつれ、負の感情というのが強く印象に残る話。例えば1編目『こどものあそび』。
保育園で次々と起こる何者かによる園児への暴行。当初は情緒不安定な園児の仕業かと思われたが、普段の様子から、それは違う。確かに、何かが、いる。それはいったい、何者なのか? どういう基準で襲う子供を選んでいるのか…… ようやく、見つけた共通点。それは……
なんていうか、嫌な話なんだけど、でも、根底部分はあり得る話。特にこう言っては何だけど、田舎とかの、「家が~」何とかかんとか。ここまで極端ではないけど、自分もそういうことを言われたことがあるし……。その中で、兄弟の間で……そういうものが繋がっていった際のいやらしさ。そういうものが極限になったとき……。起きていることはファンタジーとしても、その根底は……という感じが嫌。そして、その感情は、2編目にも共通するもの。
そして、表題作である3編目。山中の村へ「宝探し」に行き、その村の秘密へ……という話。
民俗学的な話であったり、宝を探す上でのキーパーソンについて考察してみたり……と、どちらかといううと、怪異譚とか、そういうところとは違った話になっている印象。どうにもちぐはぐな印象のある村。貧しい農村であるがゆえに起きた出来事。そういうものが組み合わさっての悲劇。本当、これ、ちょっとひねりを入れているとはいえ、柳田国男とかの世界なんだよな……。そして、その中で、自分はいったい何なのか? というところが……
そういう意味で、嫉妬とか、そういう個人的な部分はあるんだけど、その根底に社会の風土とか、慣習とか、そういう部分の理不尽さを踏まえたエピソードで固めてきた、という感じがする。
……ところで……
あの人が「美女」と思ったって……そんなにすごいの?(謎)

No.4810

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