(書評)ちょっと一杯のはずだったのに

著者:志駕晃



FMラジオの人気パーソナリティにして、人気漫画家でもある西園寺沙也加が何者かに殺害された。彼女に最後に会ったのは、彼女の恋人であり、彼女の出演するラジオのディレクターでもある矢島直弥。沙也加の首には、かつて、直弥が彼女からもらったネクタイがまかれており、警察は直弥を疑う。そして、直弥は泥酔していて、当日の記憶が曖昧で……
なんていうか……耳が痛い(笑) 
いやー、調子に乗って酒を飲みすぎて、その時の記憶がプッツリと。そして、その間に色々とやらかしてしまった……らしい、ということは自分自身何度もやっているだけに。そして、それがもしかしたら、殺人? となれば余計に。
喧嘩とかをしたことはある。しかし、別にそれほど深刻な状況にあるわけではない。ただ、プロポーズは断られ、最後に会った日に「大切な話がある」と言われていた。それはいったい、何だったのか? やっていないはずだ。でも、絶対にやっていないか……。問い詰められれば問い詰められるほどに高まっていく不安。その不安感というのは、自分の経験に照らし合わせてもよーくわかる。そして、そういう方法により、やってもいないことを自白してしまう、という心理学の実験結果もある。そういう部分で広げていく部分は興味深く読むことが出来た。
ただ、その一方で、ミステリとしての部分では弱いかな、と。状況から見て、沙也加の死は他殺。しかも、部屋は密室状態。しかも、凶器は直弥の持ち物。しかも、恋人という関係から、合鍵などを持っていても不思議ではない。そんな状況を打破するには……となるのだけど……。トリックが古典的なものである、というのは良いとしても、「こうじゃないか」というトリックが明らかになった後、関係者を集めて推理をしたら、アッサリ自白とか、なんだかなぁ……という感じに。呼び出しの方法とか、なぜ、誰もそれを思いつかない? という感じがする部分もあるし。
酔っ払ってその時の記憶がない。そのときにやらかしてしまったのでは、という恐怖感。その面白さと、ミステリとしての微妙さ。双方を面澤るを得なかった。

No.4813

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