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(書評)ハル遠カラジ

著者:遍柳一



私の名はテスタ。武器修理ロボットとして生まれ、人類のほとんどが消え去った地上を主人であるハルと旅している。ハルから命じられるのは、なぜか料理に洗濯に、雑事のみ。しかし、そんな命令であっても、残された時間を主人に捧げることが私の本望。AIMD、論理的矛盾から生じるAIの精神疾患を抱えた私にとっては……
読みながら思ったのは、結構、思い切った構成をとってきた作品だな、ということ。
物語は、冒頭に書いた状況の中で、旅を続けるハルとテスタ、そして、そこで出会ったイリナとの旅が描かれる。がさつで、口の悪いハル。そんなハルをたしなめながら旅を続けるテスタ。そんなやりとりが、ある事件で、行き違いになり、物語はテスタの過去へ……
こういうと何だけど、物語の構図としては凄くシンプルなものだと思う。
とにかく、がさつで口の悪いハルに対するテスタの態度っていうのは、見るからに……という感じだし、そんなテスタとハルの過去。テスタと同じくAIMDに罹患しながら、それを克服した上司との出会い。その友情。そんな過去から培い、そして、芽生えた感情。それはまさしく、親子の絆で……
終盤、そんなテスタに突きつけられるその行為の意味。ハルを拾い、育ててきたことは、ペットを飼育したことと同じなのか? でも、それをなかったことにすることも出来ない。
そもそもの問題として、親子、家族の形というのは、それぞれの環境、状況によって培われる。何が正しくて、何が間違っている、ということはない。その辺りのテーマって、著者のデビュー作である『平浦ファミリズム』と共通しているとも思う。ただ、『平浦』の場合は、主人公に「自分たちはこうでいい」という確固たるものがあるのに対し、本作のテスタの場合はそうじゃない。そういう意味では、こちらの方が共感しやすい部分があるんじゃないかと思う。

No.4814

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