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(書評)春待ち雑貨店ぷらんたん

著者:岡崎琢磨



京都にあるハンドメイドアクセサリーの店『ぷらんたん』。店主の北川巴瑠と、そこを訪れる悩みを抱えた人々の物語を描く連作短編集。全4編を収録。
なんか、作品を紹介だけを読んだ段階では、悩みを抱えた客の謎を、店主の巴瑠が快刀乱麻に解決して見せる、というような話だと思っていた。ところが、いざ、読み始めるとかなり重い話だった。
1編目『ひとつ、ふたつ』。いきなり巴瑠の物語。
交際して半年の恋人・一誠からプロポーズされた巴瑠。しかし、彼女は答えることが出来なかった。なぜなら、彼女は、ターナー症候群。遺伝子異常により、子供を作ることが出来ない体質。どう応えるべきか? そんなとき、イヤリングを片方だけ欲しい、という注文が入り……。依頼主の女性が抱えているもの。それは確かに障害には違いない。けれども、そんな自分を肯定する彼女に巴瑠は勇気づけられて……。実は一誠も……というところで、話の方向性というのが見えたように思う。
2編目の『クローバー』、3編目の『レジンの空』は、結構、胸糞の悪い話。『クローバー』の方は、遠距離恋愛からの話になるんだけど、……いや、この男、最悪だろ! 大体、それで察しろって、何様だよ! なんか、そんなところばかりが印象に残った。そして、『レジンの空』は、一誠の過去の物語。巴瑠と同じく、子供を作れない、ということを知った一誠。自分は……。そんな劣等感を抱えている一誠に対し、入ったサークルの先輩はある一言を……。ある意味、その先輩としては、それがメリットと思ったのかもしれないけど……こっちも相当に酷いよな……。そりゃ、一誠も怒る(笑)
そういう意味では、人間の身勝手さ、というのをテーマにしているのかな、と思う。主人公の巴瑠のエピソードからして、そんな感じだし。けれども、そんな話を描きつつ、それぞれが次の一歩を、という形でまとめているのが著者らしさなのかな? と。ドロドロとした話ではあるが、読後感は悪くない。そんな作品と言える。

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