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(書評)あの夏、二人のルカ

著者:誉田哲也



名古屋での結婚生活に終止符を打ち、故郷である東京・谷中へと戻った遥。久々に戻った遥は、留守の間にオープンした「ルーカス・ギタークラフト」という店に興味を持つ。店主である滉一とのやり取りの中、彼女が思い出すのは、高校時代の夏のこと……
読みながら思ったのは『レイジ』。バンドを巡るやり取り。著者自身が、かつてバンドを組んで、音楽活動をしていた、っていうのが出ているのかな? と……
物語の構成としては、現代パートである遥、滉一視点の物語。そして、過去パートである久美子視点で物語の3つで構成。と言いつつ、その中心となるのは、久美子パートの過去の物語なのかな? と。
私立の女子高で、バンドを組むことにした久美子、翔子、実悠、瑠香。そこへ加入することとなったのは、転校生のヨウ。ヨウの歌声は、周囲を惹きつけるものがあり、やがて、そのバンド・ルーカスにはプロデビューの話が飛び込んでくる。しかし、大人の手の上で、というヨウは乗り気ではなくて……。それでも……
ヨウ、不器用と言えば不器用なのだけど、その辺りの事情とか、そういうのが実に丁寧に描かれているな、というのを何よりも思う。家族関係から、拭い去ることのできない大人への不信感を抱いてしまったヨウ。そして、そんなヨウとバンドを襲う試練……。そこがヨウにとって。
結構、終盤の話は強引な感じはする。ただ、ヨウの抱えた過去、そして、現在の状況を上手く描くために機能しているのは確かだし。そして、そんなヨウを客観的に、そして、もどかしく思っていた久美子の存在が、しっかりと活きてくる、というのは素直に上手いと感じる。
著者の作品としてはどちらかというと地味な感じはするけど、しっかりと青春モノとして完結しているのは流石。

No.4817

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