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(書評)オカルト化する日本の教育 江戸しぐさと親学にひそむナショナリズム

著者:原田実



偽史・疑似科学に基づく教育論が学校に定着しつつある。その代表が「江戸しぐさ」と「親学」。これらは、政治などを通じて、教育行政に影響を与えている。このような欺瞞に満ちた教えは何故に蔓延し、まかり通っているのか? その背景を考察する。
第1章については、著者の『江戸しぐさの正体』『江戸しぐさの終焉』を読んでいたのだが、そのまとめ、とでも言うべきもの、という感じだろうか。コンパクトにまとめられているので、その点について詳しくない方でも、どういうもので、どう問題なのか、というのがわかると思う。
そして、第2章から「親学」について。中心人物である高橋史朗氏がどういう人物なのか。そして、政府などと結びついていること。そして、その主張がどういうものなのか、といったものが綴られる。さらに、その第3章で広まり方、さらに、TOSSなどの団体との結びつきなどが4章で綴られていく。
正直なところ、この「親学」というもの。かなり大雑把な説明ではあるけど、どういうものなのか、というのの概要はわかるかな、という感じに思う。正直なところ、色々な人物、団体が複雑に絡み合っていて突っ込み始めると膨大になってしまう。例えば、本書の中で、「脳科学」について、澤口俊之氏、森昭雄氏、福島章氏を出して、「伝統的な子育てによって発達障害が防げる」ということを述べている、という紹介がある。確かに、そういう主張をしている。けれども、それだけでもない。例えば、森昭雄氏は、(かなり杜撰な議論で)日本の伝統的なものは脳科学的に優れている、というようなことを述べていたりとかっていうのもしている。
そもそも、親学というのは、現在の家庭教育はおかしい! というところから始まっているわけで、その部分を共通させた有象無象が集まっているもの、という風に思っているので、それを深くというのは難しいところがあるのだろう。それを概要とは言え、説明した、というのは見事だと思う。
そして、その背景にあるもの。それは、ノスタルジーと、それに基づく陰謀論があるだろう、というのも思う。
ただ、終盤は、そういった様々な陰謀論などが説明されるのだけど、親学にとどまらず……になっていって、ちょっとどこが主題なのか取っ散らかってしまった感じがする。その点はちょっと残念、かな。

No.4819

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