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(書評)滅びの園

著者:恒川光太郎



突如、空中より現れた「未知なるもの」。世界で増殖したそれは、プーニーと呼ばれ、抵抗値の低い者はそれを見るだけで死亡してしまう。そんな世界で……
なんか、最近、著者の作品を読むたびに、「こんな作品?」と書いている気がするが、それでも書かせてもらう。
「こんな作品も書くの?」
第1章を読んだ段階では、いつも、というか、著者のお得意の作風かな? という感じ。仕事にも家庭に疲れ果てた鈴上。電車を乗り過ごし、気づくと見知らぬ世界へ。明らかに元の世界とは違った世界。しかし、穏やかな日々の中、そこを安住の地と感じられて……。実は、世界は何者かに覆われて危機にある。そして、そんな状況を打破することは自分にしかできない、ということも知らされる。でも……
作品の世界観とか、そういうものを取り入れつつも、しかし、デビュー作以来の、「すぐ身近にある異世界」という様相で、著者の作品に慣れた人間がまず一安心して、という導入なのかな? という感じ。
そして、第2章から、そんな世界を舞台とした物語へ。
第2章では、プーニーが広がっていく時代。そんな中、強い抵抗値を持った少女が、プーニー対策班に入って、からは、壮大なるファンタジーの物語。プーニーに対する抵抗値という厳然たる数値によって階層化していく人類。その中で、プーニーを倒すために生み出される作戦。そんな中で……。第1章の雰囲気とは打って変わって、正義とは何か? というような物語へ。いや、ひるがえって見ると第1章の鈴上もまた、自らの正義に従った形なんだよな……
いつもの著者らしい、ある意味、小さな世界観から入り、壮大な物語へ、という構成の妙を持った作品であると感じた。

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