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(書評)豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件

著者:倉知淳



全6編の作品を収録した短編集。
著者としては比較的、早いペースでの刊行となった本作だけど、どちらかというとブラックジョークのような話が多かったように感じる。
1編目『変奏曲・ABCの殺人』。父の遺産を手にしようと、近所に住む弟を殺害しようと目論む段田。しかし、ただ殺したのでは疑われてしまう。そんなとき、彼が目を付けたのは、2つの殺人事件。Aという頭文字の場所で、Aという頭文字の人間が殺害され、Bという場所でBという人物が。弟が住んでいるのはDという土地だ……。ある意味、一発ネタ的な話ではあるのだけど、そのしょうもなさが嫌いになれなかった。
2編目『社内偏愛』は、ミステリというよりもSF的なブラックジョーク。会社の意思決定をAIが行うようになった世界。しかし、あまりにも機械的な判断では、という中で「ゆらぎ」を作ったのだが、そんなAIに偏愛されてしまった男は……。ある意味では、SFということは出来ると思う。でも、これって、人間関係の中での、上司との相性、上司の(一方的な)期待とか、そういうものとも共通したものがあるんじゃないかと思う。
個人的に好きなのは、4編目の『夜を見る猫』。祖母の家で、夜中、何かを見つめているような猫のミーコ。これだけを見ると、何か超常現象的なものかな? と思えてくるのだけど、実は……。分量自体が短いこともあって、超常現象的なものではなくて……ということからの展開は早いのだけど、ちゃんとした筋道を辿っての推論。そして、社会問題も内包した真相、としっかりとした構成で楽しむことが出来た。
全体的に、謎自体は小粒。そして、ガッツリとした謎解き、ミステリーとしての味はない。けれども、色々なカラーの作品があり、短編らしいライトさで楽しめる作品集になっていると思う。

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