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(書評)福家警部補の考察

著者:大倉崇裕



倒叙形式の作品を集めた作品集。シリーズ第5作。全4編を収録。
とりあえず表紙を見て思ったこと。なんか、福家さんの顔つきがキツくなっていませんか? なんか、もっと、おっとりとした印象を抱いていたので(過去のシリーズの表紙とかを考えても)
で、作中の印象から考えても、これまでの作品に会った、福家警部補の奇妙な趣味とか、そういう部分があまりなくなって、文字通り、ストレートな犯人との対決という形になっている。
個人的に、最も印象が強かったのは2編目『上品な魔女』。屋上のソーラーシステムを調整中に転落死した男。第一発見者は、その妻。事故死、という形で決着がつきそうだったが、福家は……
勿論、倒叙形式ということもあり、犯人がその妻であったことは明らか。そして、殺された夫は、事業の失敗の穴埋めのため、妻を殺し、生命保険を、ということがあったのは間違いない。だから、殺したとはいえ、正当防衛的なものが、ということだったのだが……。何というか、犯人との対決、というよりも、犯人の妻に対する印象が転々としていく様が印象的。タイトルの通り、優しげに見えながらも、しつこく聞き込みに訪れる福家に対して覚える苛立ち。さらに、福家が知った、かかわった人が不幸になる、というもの言い。そして、あくまでも自らの安全性を確保しながらも福家を排除しようとする最後の策略……。だんだんと、妻の印象が恐ろしいものになっていく様が何よりもうまい。
純粋に対決、ミステリとして面白かったと思うのは、3編目の『安息の場所』。ジャーナリスト……とは名ばかりの脅し屋が、公園で銃殺された。その犯人は、近くでバーテンダーを営む女性・優子。事件当日、優子の与えた金で近所の悪ガキが爆竹を鳴らして遊んでおり、そのため、銃の音が聞こえなかったと思われる。そのことから、優子がマークされるが、常連客が閉店までおり、しかも、その後も一緒に別の店で飲んでいた、というアリバイが……
そのアリバイのトリックは何なのか? そもそも、優子は何故に脅迫されているのか? 被害者の家から盗まれたものは何か? というところから、それへと一歩一歩、近づいていく福家の存在感が印象的。ちょっと取り残された、と思われる謎についても最後に解明され、スッキリ。非常にストレートな対決を楽しむことが出来た。

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COMMENT 2

根岸鴨  2018, 08. 08 [Wed] 20:52

こんばんは。
福家警部補の顔はドラマの影響もあるのかもしれませんね。正直ドラマはがっかりでしたけども。

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たこやき  2018, 08. 10 [Fri] 02:19

根岸鴨さんへ

あー……なるほど……
確かに、ドラマの影響とかってあるかも知れませんね。
東野圭吾氏の『ガリレオ』シリーズの湯川が、当初は佐野史郎氏をイメージしていたのが、ドラマで担当した福山雅治氏のイメージになったのを思い出します。作中でも、思い切りイメチェンしていましたし。

ドラマの方は見ていないので、その賛否については控えます。

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