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(書評)閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室

著者:木元哉多



シリーズ第2作。3編を収録。
基本的な構成としては、前作と同じ。刑事、脅迫屋、会社社長の3人が何かをしている時、何者かに殺害される。そして、気づいたとき、目の前にいるのは沙羅で、ゲームを持ち掛けられる。それは、推理があっていれば生き返られるし、間違っていたら地獄行き、というもの……
前作は、ごくごく普通の人が……という感じだったけど、今回は先に書いたように、犯罪に近い人物のエピソードが主、というのが特徴かな?
まず、1編目。事件を捜査中の刑事・武部が、何者かに殺害された、という事件。ミステリとしては、これが一番、オーソドックスな気がする。殺人事件の捜査。一応の犯人の目星はついた。しかし、何か腑に落ちない。そこで、独自調査を開始したとき……。この作品の基本線たる「最初の段階で情報は出そろっている」というところから始まって、そこまでの情報を整理しなおして、という形で、しっかりと納得できる結末に至ったのが印象的。
推理そのものはオーソドックスだけど、オチが上手いこと付いた、というのが2編目・脅迫屋の池谷。頭は悪いが、命令通りに動く阿賀里と共に脅迫屋を営む彼は、目標であった6000万円が溜まり、コンビは解散ということにしていた。しかし、阿賀里はその金でサーフショップを開くと言うが、成功するはずがない。ならば、彼を殺して、その金を……と思うが……
そもそも死因がわからない、とはされているが、状況的に犯人が誰なのかはわかっている、というトリッキーな展開。そして、その状況で……という謎解きまでは良いとしての、そのオチ。そもそもが、犯罪者。そんな彼を生き返らせて……。前回から、それでいいのか? みたいな感想を書いていただけに、上手く溜めた部分を引き出したな、という感じ。
そして、3編目は……正直、謎解きとしてはちょっと強引だと思う。ただ、こちらは、前のエピソードがエピソードだっただけに、社会的成功を収めたものの、周囲に対し、傲慢な態度でいた主人公が少し丸くなって……という綺麗な終わり方が良かった。この辺りのエピソードの並べ方も計算されているのだろう。
2作目も面白かった。

No.4830

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