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(書評)屍人荘の殺人

著者:今村昌弘



神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、同じ大学の探偵少女・剣崎比留子と共に映画研究会の合宿に潜り込む。壱年前、ある事件が発生し、脅迫状が届いた、というそこで、ギクシャクとした関係を見せる会員、OBたち。そんな合宿1日目の夜、想像し得なかった事態が発生し、葉村たちは合宿所に立てこもることになって……
第27回鮎川哲也賞受賞作。
毎年、鮎川賞の受賞作はチェックしているのだけど、『このミステリーがすごい』『文春ミステリーベスト10』『本格ミステリ・ベスト10』などのミステリーのランキングで軒並み上位を獲得するなど大ヒット。図書館で予約していたら、こんな時期まで待たされてしまった。
で、物語なのだけど……冒頭に書いた設定だと古典的な本格ミステリって感じなのだけど、舞台設定、そこに至る段階でまず驚かされる。ネタバレかも知れないけど、これを書かないと先が書きづらいので書いてしまう。ずばり、「想像し得ない事態」というのはゾンビ集団の襲撃。そして、合宿に向かった面々も何人かがそこで死亡して……で、生き残った面々が合宿所に立てこもって、ということになる。そして、そこで起こる殺人事件……
密室でゾンビに喰われて殺害された部員。しかし、その扉には人間が書いたメッセージが。ゾンビの様子から見て、文字を書いたりするような知能があるとは思えない。では、人間がゾンビの仕業と偽装? でも、それを行うのは難しい。そもそも、ゾンビがいるとしたら、立てこもった部分にゾンビがいる、ということに……。ゾンビが殺したのか? それとも……。さらに、発生する殺人事件……
これまたネタバレになるかも知れないけど、ゾンビ発生についてのあれこれ、とかは、完全に回収されたとは言い難い。ただ、物語の事件などについて、やはりゾンビの存在が大きな意味を持つ。そして、ゾンビによって追い込まれていく生存者たち。そんなガジェットによって生み出される緊迫感は上手い。
ゾンビの存在、というファンタジー的な要素を用い、それを一つのキーとしながらも、しっかりと本格ミステリの形を作り上げる。北村薫氏の選評ではないが、「奇想と本格ミステリの融合」という言葉がぴったりと来る作品だと思う。

No.4849

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