（書評）生意気なお嬢様を従順にする方法

著者：田口一



バーチャル美少女をこの上なく愛する後阪広十は、先行販売で入手したＡＲ装置を起動する。無数の光点はやがて人の形となり、ＡＩ・リーナへと顕現した。従順なリーナとのイチャラブ生活開始！　早速、リーナのパンツを覗こうとするのだが……なぜか、リーナは生意気なお嬢様・永羽星璃々七に乗っ取られてしまって……
入れ替わりラブコメ……っていうことになるのかな？
なんか、これだけを見ると、ＳＦ設定も垣間見えるのだけど、そこはあまりなく、ただ、ツンツンとしたお嬢様・璃々七と、広十べったりのＡＩのリーナが入れ替わって巻き起こされるドタバタ劇という感じ。
とりあえず、一言で言うと、璃々七、面倒くせぇ！（笑）　基本的にお嬢様で、「リアルの女なんて！」という広十に対しては、嫌悪感を交えた言葉を常に発する存在。しかし、その一方で、ＶＲのために熱心に勉強をしている広十に感心したりも……。そして……。それはわからないでもないのだけど、だんだんと惹かれていく様、というのはちょっと強引な感じはする。
ただ……そんな中での、ある種のお約束ともいえるドタバタっぷりは流石にテンポの良さとかは流石にベテランだけに手馴れているな、という感じ。
いや～……人間の身体になったリーナは、ＡＩのときと同じように広十にべったりなので、璃々七が広十と！？　とか、はたまた、リーナが人間の身体になったので、トイレに、とか、そういうものがなくて（色々な意味で）ピンチに！　とか、いかにも、な展開だけど、それだけに安定感のある話として楽しかった。
こういうと悪い意味に取られるかも知れないけど、昔ながらのＭＦ文庫Ｊ的な、気楽なドタバタラブコメっていうのも、これはこれで悪くない。

Ｎｏ．４８８８


にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。