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(書評)犬神の杜 よろず建物因縁帳

著者:内藤了



死体は全身、咬み痕だらけだった。嘉見帰来山トンネルの建設工事中、その事務員2人が不吉な黒犬を目撃し、その後に不審な死を遂げる、という事件が相次ぐ。憑き物体質の高沢春菜は、その事件の調査のために現場の事務所へ出向することに。そんな中、春菜自身も大きな黒犬を目撃して……
シリーズ第4作。
これまでの話と比べても、民俗学的な話を多く交えてきたな、という印象。
犬を目撃した者が不審な死を遂げる山。その事務所では、奇妙なルールが存在している。それは、その山に纏わる言い伝えによるもの。それは、その山にあった村の消失する事件と、犬神の祟りについて……。
「呪い」の道具としての犬。それを使うことは強力な呪力として顕現するが、しかし、同時にその使用者もまた……。そのような中で、呪いに使った「犬」はどこかに捨てなければならない。勿論、その死体を捨てに行った者が帰れば、そのまま、その者についてしまうため、「捨てに行く」=「そこで死ぬ」ということを意味する。そして、その場が、「嘉見帰来(かみきらい)」。そんな山にトンネルを掘る、というのは、捨てられた死体を掘り返すと同じ事。
この村の風習とか、呪い、というようなものの由来が明らかになっていく様が印象的。そして、それを踏まえた上での、村の消失事件についての言い伝えの奇妙な箇所が示すものは何なのか? 民俗学的な「呪い」についての話と、そこで起きた出来事のリンクという謎解きに惹かれた。
そんな呪いのリンクを説く方法……というのは、あるんだけど、その結末はあっけなくも切ないもの。事務所での日々の中での、ちょっとした違和感。それは……。過去作で描かれつつも、作中、あまり気にすることがなかった春菜の体質などが伏線となっての結末は「そうか!」という感想しか出てこなかった。

No.4889

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