FC2ブログ

(書評)ジャナ研の憂鬱な事件簿4

著者:酒井田寛太郎



互いに意識をしつつも何の進展もないままの啓介と真冬。そんなジャナ研と同じ部室棟にある写真部の部室から大きな叫び声が聞こえてきて……(『金魚はどこだ?』)からのシリーズ第4作。
何というか、第3巻のまとめで、一つ、大きな爆弾が出てきて……というところからだったのだけど、1編目は、これまで通り、という印象のエピソード。
冒頭に書いた写真部で起きた事件。それは、顧問から預かっていた金魚が金魚鉢ごと消えてしまった、という事件。しかも、しばらくすると金魚鉢だけが戻ってきて……。事件の真相そのものについては、間違いなく「日常の謎」と言えるようなもの。ただ、その中で明かされるのは、写真部の中のゴタゴタ。そこにあるのは、人間の醜さそのもの。このエピソードでは、まだそれで終わるのだが……2編目『スウィート・マイ・ホーム』で……
ボランティアで介護施設を訪れた啓介たち。そこには、身元不明の老人が。認知症で、自分が誰なのかもわからない。ただ、いつもカッチリとした服装をしていて、良い家にいたことが伺える。そんなとき、その身元不明の人の部屋が何者かに荒らされて……。当初は窃盗犯と思われるのだが、そもそも、介護施設にそれほどの資産が? しかも、その老人の部屋をダイレクトに狙ったように見受けられる。その中で、啓介は真相を見抜くが……
テーマとすれば1編目と共通した部分がある話。ただ、今回は、その中で啓介と真冬の考えが決定的に対立してしまう。真相を暴くことは常に幸せにつながるのか? 過去の経験から、それを良しとしない啓介と、その能力を活かすべきという真冬の決裂が決定的になってしまい……。以前から、考え方に違いがあったわけだけど、それがついに、という感じかな?
そして、そんな中での3編目。ある意味、この作品のヒロインであるユリに関する話。謎解きはともかく、決定的な対立をし、そのままの状態の啓介と真冬の関係。しかし、その心の中にある想いをユリは知っていて……。3巻のラストシーンと被るところはあるんだけど、この一種の後押しがどういう形で今後に繋がるのか楽しみ。

No.4894

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト

COMMENT 0