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(書評)ナイトメア・ゲーム

著者:真坂マサル



目覚めたとき、街は「悪夢」に覆われていた。悪夢が人々を食い破り始めた町。カルト宗教による異様な予言。その通りに混乱に陥る街で、慧吾たちのサバイバルが始まって……
ジャンルとしてはパニックホラー、ということになるんだろう。ただ、この作品の特徴は、そのパニックというのが、何に端を発しているのかわからず、しかも、超常現象的な形で発露される、というところになると思う。
例えば、「謎の奇病が蔓延している」とか、「ゾンビが大量発生した」とかであれば、じゃあ、病気にかからないようにするにはどうすれば良いのか? とか、ゾンビにどう対処すれば良いのか? とか、とりあえずの対処の方向性、というのが見えてくるはず。ところが、本作の場合、目覚めたら、ライフラインが途絶えていて、しかも、化け物が襲い掛かってくる。しかも、その化け物は、それぞれ全く違うものだし、また、町で亡くなっている人たちを見ると、特に怪我などをしているわけではないのに、苦しみながら……なんていう遺体も数多くある。結局、それは何なのだ? というところから始まり、生存者たちが集って、どういう理由なのか? どういう法則があるのか? という形で話が進んでいく。
そんな感じで、だんだんと作品のルールなどが明らかになっていって……というわけなのだけど、今度はそのルールが明らかになることで発生する仲間内での疑心暗鬼であるとか、イザコザなどが印象的。特に、作中、しばしば挿入される、時系列がちょっと異なる、それぞれの置かれた立場の断章がその嫌な雰囲気などを加速させていくのもうまい。「ああ、こういう背景があるのか」というのを巧みに演出しているわけだし。
勿論、この作品で起こった事とか、そういうものは、異能力とか、ファンタジーとか、そういう形で言い表すタイプの作品ではある。ただ、そのキャラクターのディテールなどをしっかりと詰めることで、現実的な部分も多く垣間見えて、言い方は悪いのだけど、電撃文庫ではなくて、角川ホラー文庫とか、そういうレーベルで出されても全く違和感を感じないような作品じゃないか、というように思えてならなかった。
というか……作中で出てくる化け物たちの、統一感の無さ。これは、作中のルール把握のカギでもあるのだけど、それ自体の気持ち悪さ、っていうのが、作品の魅力であるのは間違いないよな、というのを最後に付け加えておく。

No.4898

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