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(書評)メーラーデーモンの戦慄

著者:早坂吝



「一週間後、お前は死ぬ」 メーラーデーモンを名乗る者から、そのメールが届いた人物が殺害される、という連続事件が発生。「お客様」を殺害された上木らいちは、調査を開始。その結果、被害者は、X-Phone社のガラケーユーザーであると判明する。一方、休職中の刑事・藍川は、その休暇を「青の館」で過ごすことになるのだが……
上木らいちシリーズ第5作。
何というか……雰囲気的には、シリーズの最終作みたいな雰囲気を纏っているな、と感じたり。というのは、粗筋でも書いたように「青の館」というのは、2作目『虹の歯ブラシ』に登場した舞台だし、そこで藍川が出会う相手も(実は)過去作でらいちと出会っていた人々、そういう全員集合、的なところが、どうしても……というわけ。
物語は、らいち、藍川の両視点から展開。序盤、藍川は青の館に引きこもっているので、らいちが、そもそもどうやってターゲットが選ばれたのか、というのを探す形になり、後半、後輩である小松凪刑事の窮地を知った藍川がらいちの遺したヒントを元に、黒幕の正体について絞り込みを行う、という構成。
正直なところ、このシリーズらしく、下ネタが多く出ている部分はある。ぶっちゃけ、シリーズになれているだけに、あの音は、そっちじゃなくてこっちだろう、と思ったところもあったし(指示代名詞ばかりですまんが、読めばわかるはず)、犯人特定についてもそれかよ! っていう部分はある。
ただ、その終盤の絞り込みについて、位置関係などをらいちのヒントから論理的に探っていく過程とか、そういうものはまさしく本格ミステリのそれ。その辺りのテイストは相変わらず。
そして、それ以上に、この黒幕の動機が凄い。いや、物凄く短絡的だし、仮にも大企業のトップがすることか? っていうのはある。あるんだけど、ただ、一方で本音として、それは絶対にあるだろうな、というのをどうしても思う。ぶっちゃけ、私自身がその被害者側の人間に該当するはずなのだけど、「面倒」と思われていることは間違いないもの(笑)
何か、エロ要素とかよりも、そっちの印象が強く残った。

No.4917

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