FC2ブログ

(書評)美少年M

著者:西尾維新



映画祭で敗退し、胎教委員会への道が絶たれた美少年探偵団。視力を失う危機にある眉美は、「最後の活動」として、映画祭で優勝した私立アーチェリー女学院で潜入捜査を行うことに。古式ゆかしい大和撫子を育てる名門校は様変わりしており……
美少年シリーズ第9作。
冒頭に書いた表題作をはじめとして、全3編を収録した作品集。
表題作については、前作で『裸の女王蜂』を作った学園。名門校ということだったが、沃野の潜入によりその様相は一変。生徒たちによる反乱。その結果、生徒の制服は学ランになり、教員は全員追放。そして、「授業」と称して、漫画などを読む、という有様に。そして、その中で、生徒会長は、「M計画」なるものを推し進めようとしていた。それは、学校の歴史的な建物を美術館にする。そして、そこで全生徒のヌード写真を掲載する、というもの……
この話自体は、眉美がそれを阻止すべく、代替案を、というような形なのだけど、眉美自身が指摘するように、そこで行われているのは何となく中途半端さを感じる者。なぜなら、大人への反抗、女性像からの反抗、というのは良いとしても、その割には歴史的な建物を残したり、制服を学ランに、と言っても上に羽織るだけ。食事などは、それまでの和食などから、ラーメンとか、それまで「ダメ」と言われていたものに……なのだけど、わざわざ麺を打ったり、とか、変なところで手が込んでいる。
別に、この作品で社会がどうこう、とか、そういうわけではないと思うのだけど、社会的な意思形成とか、そういうのを感じるのは確か。確かに、表面上ではそれまでと逆に、という風に思える。でも、根底的なところは実は大きく変わっていない。ならば……。眉美のアイデアっていうのも、それを逆手に取ったもの。その辺り、解決というのともちょっと違うけど、上手くまとめたな、という感じ。
残りの2編は、探偵団の面々が眉美が殺された、という仮定で誰が犯人なのかを推理するゲーム。札槻嘘が、一夜にして300枚以上の絵画が偽物とすり替えられた美術館の謎を解く話、とどちらも一応、推理モノの形。どちらが好きか、というと、私は後者かな? それ以上は書かない。
で、話の中身そのものはそれほど動いていないのだけど、表題作で、指輪学園に戻った眉美の前から消えた美少年探偵団。これが何を意味しているのか? っていうところか……(と言って、何もない、ってのが著者の場合、あり得るのが怖いところ)

No.4924

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト

COMMENT 0

TRACKBACK 1

この記事へのトラックバック
  •  美少年M
  • 美少年M 著:西尾 維新  発行元(出版): 講談社(タイガ文庫レーベル) ≪あらすじ≫ 映画祭で敗退し、敵組織・胎教委員会に繋がる道を断たれた、美少年探偵団。『美観のマユミ』こと瞳島眉美は、沃野禁止郎を追い、私立アーチェリー女学院に単身乗り込むことを決意する。古式ゆかしい大和撫子を育てる名門校では、信じがたい事件が起きていた!しかし、マユミの『良過ぎる視力』には限界が...
  • 2018.11.13 (Tue) 20:16 | 刹那的虹色世界